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Foot Pod (フットポッド)

「Foot Pod」はGARMIN社のForerunnerシリーズに使用可能なオプション機器です。ランニングシューズに装着することにより、GPS電波が受信できない環境下でも走る速さや距離などの検出が可能になります。

緯度経度など地球上の位置は把握できません。検出できるのは移動している接線方向の速さや道のりです。

使用可能な本体機器は以下の通りです。
Forerunner305、ForeAthlete305、Forerunner50、Forerunner405、(Forerunner405に関してはGARMINのアナウンスに依ります。私はまだ検証していません。)

GPS本体との通信は、ANT+Sportという2.4GHzの微弱な電波を用いる方式です。この方式は機器毎にIDを持っていますから、同じシステム内であれば混信はありません。しかし他の方式の機器から影響を受けたり与えたりする可能性は有りますし、電子レンジなどの強い妨害電波には影響を受けると思われます。


ここにはフットポッドの画像があります。

簡単なスペックは以下の通りです。
寸法 56mm×37mm×14mm (本体実測値、ホルダの突起部は含まず)
質量 23g (電池+本体:18g、ホルダ:5g)
防水性能 10m
電波到達範囲 約3m
速度と距離の精度 標準状態にて95%、補正後98%
電池 CR2032×1個
電池寿命 200時間(ランニング時間)
使用後(静かに置いていると)30分で自動的に電源が切れます。
動作温度範囲 -10度C〜60度C
精度保証温度範囲 0度C〜40度C
使用周波数 2.4GHz帯 ANT+Sportプロトコル
データの信頼性は、電気的な妨害、受信機との距離、外気温度に依ります。

Forerunner50の取説データを元にしていますが、寸法と質量は実測値と大きく異なっていましたので実測値を記載しています。

Forerunner305が出た直後にオプションとして販売されていたFoot Podとは少し仕様が違います。古いタイプは電池が単四電池ですが、今回のタイプはコイン型リチウム電池が採用されていて居ます。

旧型の最大寸法73mmと質量40gに対して、新型は56mmに23gとかなりの小型軽量化が実現されました。また、使用時間も旧型の最低70時間に対して、新型は200時間と延長されています。

使ってみると新型のサイズと質量であっても、片側に装着するためか少しだけ違和感があります。また電池寿命の200時間はキロ6分で計算すれば2000kmに相当します。月に300km走るランナーであれば半年強の期間です。1年くらいは持って欲しい気がします。

30分で電源が切れると成っていますから、30分間静かに置いていたら電源が切れる仕組みなのだと思われます。と言うことは車の中に置きっぱなしにしたり、頻繁に振動が加わる場所に置いていると電池が直ぐに無くなるのかもしれません。

スペックの最後に心拍センサやケイデンスセンサには無かった、「外気温度に依ります」の文章が追加されています。他のセンサよりも温度に影響されやすい特性を持っていると思われます。


ここには靴に取り付けた画像があります。

26.0cmのアシックス製ゲルフェザーに装着した画像です。違和感の1/3は変な物を装着してしまったという気持ち。次の1/3は23gの質量増加、残り1/3は平らなホルダがベロを押すことに依る感触的な違和感。そんな風に感じます。

人による個人差が有るとは思いますが、29cmの大男よりも、22cmの小柄な女性ランナーのほうが違和感を覚える可能性が高いかもしれません。

ここには靴から取り外した画像があります。

ホルダから本体を外した状態です。靴紐のタイプであれば3組か4組を通すことが出来そうです。ベルクロテープの靴の場合、丁度良い位置で2本を通せれば良いのですが、1本しか通せないとグラグラしてしまうと思います。

脱着はつま先側のホルダの爪を、少し下向きに押し下げてから本体を脱着します。


ここには電池蓋の説明画像があります。

真面目に走っていれば(笑)、半年に1回はやってくる電池交換の説明です。

この画像は電池蓋が閉まった状態です。時計回りに蓋を回すと蓋が閉まってロックされます。この状態で使います。

電池蓋を開けるときは、中央の溝に硬貨などを差し込んでから反時計回りに回します。専用の工具がありますが、専用品を使うにしても硬貨を使うにしても、溝の形状にピッタリあった物を選ばないと溝が傷だらけになってしまいます。

ここには電池交換時の画像があります。

蓋を開けた状態です。コイン型のリチウム電池CR2032が1個使われています。この向きが正しい電池の向きです。コイン電池は電池の向きでプラスとマイナスが決まりますから注意が必要です。

蓋の溝にはまっているのが、防水のためのOリング(オーリング)です。装着時にこれが捩れていたり、溝からはみ出していたり、半分挟まっていたりすると、水が入って壊れてしまいます。

蓋を何回か左右に回して落ち着かせながら、注意深く装着する事が重要です。防水性を高めるためと装着時の潤滑のために、Oリングには本体樹脂を侵さないシリコーン系のオイルやワセリンなどを薄く塗ると効果的です。

作業に不安がある人や、(私の嫁さんのように)何故か私が使うと物が壊れる(笑)、と言う人は弊社に送って貰えれば作業します。


フットポッド方式による精度に関して。

何もキャリブレーションをしない状態で、95%の精度は出ているんじゃ無いかと感じています。ただ、この件に関して定量的に検証することは難しいようか気がします。

それは脚を常に一定の状態で動かすことが出来ないからです。ここがフットポッド式の弱点かもしれませんが、脚の動かし方というか路面の状況というか、そう言った物に検出が影響されやすい感じがあります。

私の走り方で言えば、キロ4分30秒からキロ5分で平地を走っている場合、標準状態で95%の精度が出ていると感じられます。しかし登りで速度が落ちた場合、フットポッド式は甘く判断される傾向を感じます。GPSの比較や解った距離での検証によると、登りのキロ5分を4分40秒などと表示している感じです。

逆に、下りでの評価は大変厳しいです。キロ4分0秒で走っていても、フットポッド式の表示は4分20秒くらいに判断されたりします。

この方式はポッド内の加速度センサか何かを用いて、歩幅と歩数に相当するデータを得ていると思われます。従って脚の動かし方が変わったり、上り下りで同じ脚の加速度に対しても身体の動く量が異なってきたりすると、平地とは違った出力に成るのも仕方が無いように思います。

と言うことは、走る環境がコロコロ変わるような状況下ではいくらキャリブレーションを行っても意味がないのかもしれません。反対に 普段自分が使う環境が一定の人の場合、キャリブレーションをきっちりと行ってしまえば、かなりの精度が期待できる訳です。

走り出しの反応などはGPS方式とは比べものに成らないほど良好です。スタートして数歩でキロ5分程度に達している場合でも、GPS方式はフィルターのせいかどれも反応が遅くて10秒くらいは遅れ気味です。フットポッド方式の場合は小気味よく加速の状態を示してくれます。

まあ、一長一短が有ると言うことで。


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