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Test the Hub Dynamo(Ver1)

ハブダイナモの出力特性を測定してみました。ダイナモ自体はシマノのNEXUS HB-NX-20-QR と言う商品ですが、実際の購入はナショナル自転車が販売している完組ホイールとライトのセット品である NWAR1824と言う商品を購入しています。

NWAR1824は上記のハブダイナモに、無難なロード用リム マビック オープンプロ、定番ランプのキャットアイ HL-500II そして配線材料などを組み合わせた商品です。価格は18,800円でした。これに手持ちの980円タイヤ Panaracer Sport 700X23Cを組み合わせました。

試験は前輪を駆動しながら測定を行う必要があるため、3本ローラー上で行いました。測定機材はハンディーテスター(三和CD-782C)と数種類のセメント抵抗です。速度の測定は自転車に装着済みの速度計(シマノフライトデッキ)を使用します。

ハブダイナモのスペックでは6V-0.4A(2.4W)となっています。NEXUSの位置づけを考えると軽快に町中を走る自転車や通学自転車がターゲットと思われます。これらの車輪周長と想定速度を考えてみると、700Cで時速25km/hの場合は周長2.1mと考えると198rpm、24インチで時速15km/hの場合は周長1.8mと考えると139rpmとなります。シマノは150rpm位を標準と考えているのでしょうか?また、標準の負荷抵抗は6Vで0.4Aですから15Ωと思われます。

5W以上の大きさがあって15Ω前後の手持ち抵抗を探すと10、20、47Ωが有りました。これに無負荷を加えて負荷抵抗は4段階、速度は10、20、30km/hの3段階を測定してみます。もう少し詳細に測定すれば良いのですが、最初と言うこともあるし今日は一人で計測するのでこの辺が限界です。


では早速測定しましょう。生の測定値は速度、負荷抵抗、電圧です。電流と出力は計算値です。速度は足の踏み込み方で変動しますし、速度計の反応も遅いです。電圧計も真の実効値表示では有りますが反応は遅いです。それらの組み合わせの為に、絶対値はそんなに信頼性は無いかもしれません。でも傾向は解りました。

速度(km/h)負荷抵抗(Ω)電圧(V)電流(A)出力(W)
10開放7.000
20開放13.500
30開放19.000

速度(km/h)負荷抵抗(Ω)電圧(V)電流(A)出力(W)
10476.80.1450.98
204711.00.2342.57
304714.50.3094.47

速度(km/h)負荷抵抗(Ω)電圧(V)電流(A)出力(W)
10205.50.2751.51
20208.10.4053.28
30209.10.4554.14

速度(km/h)負荷抵抗(Ω)電圧(V)電流(A)出力(W)
10104.10.4101.68
20104.80.4802.30
30105.10.5102.60

入力が足の感覚に依るために効率を論じることは不可能です。そこで今回は出力のみを見てみます。速度が10km/hの場合は10Ω負荷で最大出力が得られ、速度が20km/hの場合は20Ωで最大出力が得られ、速度が30km/hの場合は47Ωで最大出力が得られています。また、定格出力は15Ω負荷で時速15km/h前後だと想定できます。最初の仮定は合っていたようです。


町中を20km/h以下で走る場合は標準の負荷で良いかもしれません。しかし夜練習などですぐに高い速度に移行し30km/h以上を維持するような場合は、負荷として12V3Wから5W程度のランプに交換した方が良いのかもしれません。これは次回の宿題です。ただし低速で極端に暗くなるのは目に見えていますが・・・

少なくとも10WクラスのHIDランプをそのままで駆動し続けることは無理だと解りました。ただこの場合も蓄電池を併用してフローティング充電とすれば、1/3から1/2の電力は供給できる訳です。電池の寿命が倍近く延びる可能性を示唆しています。

GPS電源への応用ですが、こちらは上手く行きそうです。従来機種の場合は10Vの0.1A位から動作します。最大電圧も24V近くまで入力可能です。この場合は整流してコンデンサを入れるだけで使えるかもしれません。しかしGPSの電源回路が頻繁な電源電圧の昇降に耐えられるか等の確認すべき事は残っています。

またeTrexシリーズへの対応もできそうです。こちらは3Vの定電圧化された電源が必要です。電流は機種に依りますが0.15A程度は必要です。測定結果から想像すると、時速10km/h以下でもeTrexは駆動できそうな感じです。回路を上手く考えると、ツーリングの間中電池の心配が無いというのは大変嬉しいことです。


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