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3V出力のレギュレータ回路を試験する

ハブダイナモでeTrexを駆動するためには0V-30Vくらいの交流入力から、直流の3.0V出力で電流が100mA-150mAくらい取れるレギュレータユニットが必要になります。

当初はDC-DCコンバータを使って効率よく・・・と考えていましたが、ハブダイナモの特性を見ているうちに、100mAくらいの消費なら電圧降下も少ないので、安直なシリーズレギュレータでも良いかなと言う気になってきました。

またDC-DCは高価ですし、詳細に仕様書を見てみると宣伝されている効率はピークの一点であり、それ以外ではシリーズレギュレータに近い効率まで落ちている製品も結構あります。今回は入力範囲が広いので最適なDC-DCを選定するのは困難です。さらに頻繁な入力電圧の変動で内部の発振回路がどのような挙動を示すか不安もありました。

色々考えて、初めはシリーズレギュレータで実験をしてみることにしました。


用意した部品は手元にあった3Aくらい行けそうなダイオードブリッジ、1000μFと220μFのコンデンサ、NECの2903と書かれた3V用らしき三端子レギュレータです。あとは負荷として10、20、5Ωのセメント抵抗です。

回路は凄く単純でこんな感じです。実験はAC input部に電源装置から直流を供給して、各部の電圧を測定しました。

ここには3Vレギュレータの試験用回路図が有ります


まず100mAの消費電流を前提に、出力側に30Ωの抵抗を接続して測定します。出力端子の電圧を観察しながら入力電圧を上げていくと、出力電圧が3.07Vで一定になりました。これがこの三端子レギュレータの定格出力電圧の様です。再度入力電圧を調整して、ギリギリ3.07Vを出力できる入力電圧を探ってみると、入力電圧3.27Vが最低線でした。

すなわち、この三端子レギュレータのドロップ電圧は、消費電流が100mAの時に0.20Vです。思ったより良好な値でした。これなら全波整流のダイオードの方が問題になりそうです。そこで交流側の入力電圧を測定してみると4.73Vも有ります。ダイオード2本で1.46Vもドロップしていました。最終的には大型のショットキーダイオードでも使って、2本で0.6Vくらいに納めたい所です。

同じように負荷を10Ωに変更して、300mAの状態を測定しました。ギリギリの線は入力電圧3.31V、出力電圧3.07Vで、ドロップ電圧は0.24Vです。交流側の入力電圧は4.87Vなのでダイオード2本分のドロップは1.56Vです。


ここで実際の可能性を検証してみます、前回のハブダイナモ単体の試験では、時速10km/hにおいて6.8Vの0.145Aと言うデータが有ります。消費電流が100mAのeTrexをギリギリ駆動するためには、上記の回路で4.73Vの100mA電源が必要です。この数値は十分にクリヤして居ますから、今の回路でも時速10km/h有ればeTrexをハブダイナモだけで駆動可能な事が解りました。

周波数が極端に低いことから、別途リップルなどの問題を検討しなければならないとは思いますが、時速10km/hでもOKと言う結果はかなり嬉しいデータです。今後の課題としては、ダイオードブリッジの電圧降下が大きすぎるので、この部分を大電流用のショットキーダイオードを使い、2個で0.6V以下に押さえてみようと思います。

そうすると交流入力に必要な電圧は100mA消費時に3.0V+0.6V+0.2V=3.8Vになります。ここまで改善できれば時速7km/hでも駆動可能な回路になるかもしれません。勾配が10%を超す峠の登りでも、自分の脚力だけでGPSを駆動できれば結構愉快です。


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