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デジカメ用顕微鏡撮影アダプタを作る

息子が顕微鏡に興味を持ったようで、先日帰省したときに実家の納屋から顕微鏡を発掘してきました。私が小学生の頃に親父が買ってくれたもので、当時の安月給で偉くしっかりした物を買ってくれていたのだと感激。。。

保管が悪かったのでレンズ関係の掃除が大変でしたが、何とか子供の観察程度には使えるようになりました。そうこうしていると私の方が興味が出てしまい(笑)、色々な物を観察しては写真に残しておきたくなりました。

調べてみるとカメラのレンズを目の位置に持ってくるだけで簡易撮影が出来るようです。所有しているカメラで試しところ、DC290の最望遠側が一番具合が良いことが解りました。

数枚撮影してみると、保持位置は意外と敏感です。息子もやりたがりますがちょっと無理でした。市販のアダプタもありますが高価ですし少数派のDC290用は存在しませんでした。そこでいつものようにその辺の材料ででっち上げてしまいました。



主要な材料は価格と作業性を考慮して水道用の塩ビ管です。旋盤が使えればアルミか真鍮でカチッとしたものを作るとスマートだし精度も期待できます。

顕微鏡自体はJIS規格品なので鏡筒の外径は25mmです。まずこの部分にスリーブを入れて太くしておきます。これは通常の観察時も付けたままにしておくと、カメラ脱着時に接眼レンズをいじらなくて済むので便利です。

内径が25mmで外径が接眼レンズの縁より大きい材料として、呼び径25用のユニオンソケットを使いました。概略寸法がφ25×φ32×100なので、鏡筒の長さに合わせて52mmくらいにカットします。内径が少しテーパーになっていたので鏡筒にきつめに入るようヤスリで仕上げます。

画像では最下部に黒いビニールテープが巻いてありますが、これは相手の径違いソケットの内面がテーパーになっているためのガタ殺しです。旋盤加工で平行なアダプタを作る場合は当然必要ありません。

カメラ側のアダプタには、呼び径25×40の径違いソケットを使いました。この内面にはつばが出ているのでナイフやヤスリで加工し、上記のスリーブがスムーズに通るよう内径をφ32+αに仕上げます。

カメラの電源を入れてレンズの出具合を測定し、カメラレンズ先端と接眼レンズの隙間が0.5mmになるよう径違いソケットの長さ決定して切断します。それからカメラクランプ用に8本のスリ割りと割れ防止の穴を開けて完成です。

径違いソケットの40側内径はこのカメラの固定部よりも直径で2mmほど大きいので、1mm厚のプラスチック板をはさむ必要があります。固定はホースクランプで軽く締めればOKです。総額は800円程度、作業時間は3時間くらいです。


使い方は簡単で、スリーブは付けたまま観察します。撮影したいときはアダプタを付けたカメラを上から差し込んで撮影するだけです。DC290の場合はマニュアル焦点で最短を選ぶと具合が良いようです。

手元にある凹凸加工した塩ビ板を撮影してみたらこんな画像になりました。どこかの地形みたいでなかなか面白いです。

非常に安価に実用的でしっかりした物ができあがりますが、工作中に塩ビの削りかすが多量に出ます。その状態で食事や入浴の為に部屋を出入りすると、家中に削りかすをまき散らす事になります。

こういった異物は家人との関係が非常に悪くなる原因です。あなたがジョリオ・キュリーか華岡青洲で無い限り、掃除機を用意して細心の注意で足の裏を掃除することをお勧めします。


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