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GPSの保持方法による感度の違い

機種毎の機能比較には熱心なのに、意外と無頓着な人が多い受信機の保持方法に関してのレポートです。

ここには受信の悪い例が有ります この軌跡データはGeko201を体の前に装着した時のデータです。実際にはモンベルのケースに入れていますが、イメージ的には胸ポケットに縦向きに入れたイメージです。液晶は前向きです。

一見して受信が非常に悪いのが解ります。特に登り方向である紅葉谷側(東側の谷)はほとんど取れていません。下りの大元公園への谷(西側の谷)は8割くらいは受信できている感じです。

体の前面に装着した場合、自分の前方の衛星しか受信できません。そのために進行方向に山が来る登りでは、極端に受信が悪くなります。

反対に進行方向が開ける下りでは、そこそこ受信できます。


ここには受信の良い例が有ります こちらは受信が良い例です。登りは上記と同じ紅葉谷を登り、下りは大聖院への谷を下っています。時期的に新緑の雨上がりのタイミングなので、こちらの方が環境的には悪いはずなのですがデータは良くなっています。

こちらはGPSを肩の上に水平に装着しています。さらに登りではアンテナ部が後ろに向くようにケースに入れ、下りではアンテナ部が前に向くようにケースに入れて、微妙な調節も行っています。

同じモンベルのケースを使って、20cmも変わらない場所に装着しているのですが、結果には大きな差が有る事が解ります。


ここには平地の受信例が有ります 最後は平地の例です。最初の例と同じようにGPSを体の前に装着して、平地の国道を往復したデータです。

どの道を通ったかはっきりと解りますし、同じ道を通った所はほぼ一本の線になっています。悪くないデータです。

山では使い物にならないと思われた装着方法ですが、平地ならそれなりのデータが取れています。平地に限定すれば、この方法で保持していてもきちんと受信できていると思うかもしれません。


人間の体はGPSの電波を通しません。GPSの電波は体の後ろに回り込んだりしませんから、GPS受信機が体の陰にならないように保持しないと良好な受信状態は得られません。正確に言うならアンテナの指向性範囲内に自分の体を入れないように保持するべきなのです。

GPSを胸ポケットに入れたり、腰に付けたり、ストラップでぶら下げて使っている人もいます。「性能が悪い」と言う人もいれば「俺のGPSは良い」と言う人もいます。使っている環境が違いますから、どちらも間違いでは無いでしょう。ただ、どちらも受信機の性能を100パーセント引き出せていないのは確かです。

最近の受信機は高性能なので、楽な環境であればいいかげんな保持方法でもそれなりのデータは得られます。しかし厳しい環境下では最初の例のように全く受信できない事も出てきます。

厳しい環境下でいかに良好なデータを取得するかは、GPSの性能差や価格差よりも利用技術の差が大きなウエイトを占めています。仕事や研究でGPSデータを採取する人たちは何故、背中からポールを立てたり頭にアンテナを載せたり面倒なことをしているのでしょうか。

個人利用であっても、電波の特性やアンテナの指向性などを理解して活用するのは意味がある事です。思い出の旅行のデータが捕れてなかったり、道に迷ったときGPSが受信できなかったらせっかく購入した意味がありません。


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