RIGHT STUFF, Inc.

Right Stuff Wrong Stuff


安物LEDヘッドライト

私が夜にジョギングしている道で、一部に真っ暗な歩道が有ります。地面の凹凸すら解らないので非常に危険です。以前から軽量なヘッドライトか懐中電灯が欲しいと思っていました。

ホームセンターをうろついていたところ、どこかで見たような形のLEDヘッドライトが安い値段で出ていました。安物に弱い私はつい、ふらふらとレジへ・・・・

ここにはLEDヘッドライトの画像が有ります width=

誰が見てもペツルのティカのパチモンと解る形状に、ティカの3個を上回る5個ものLEDが装備されています。新型のティカプラスでもLEDは4個ですから表面的なスペックではこれの勝ちです。

販売会社は「サンジェルマン」。この会社の570円も!する12桁卓上電卓は、弊社の経理で使っています。「ドウシシャ」とともに、ホームセンターやディスカウントショップでよく見る会社です。

ブランド名は「GENTOS」で型番は「HX-510SL」となっています。価格は電池付で1,480円でした。旧型ティカの市場価格が3,000円強、ティカプラスなら4,500円程度することを考えると非常に安価です。

ただ、形状がティカに似ている部分は評価できません。デザイナーがまともな仕事をせずにティカの人気や評価に便乗しようと言う思想が見え見えだからです。


とりあえず、簡単な測定と評価です。

単四電池3本込みの質量は69gで十分に軽量です。本体は全く防水性が有りません。しかもICを採用して4種類もの点灯パターンを用意しているために、雨に濡れたら一発で故障しそうな感じです。

明るさはそれほど明るいとは思いませんが、舗装路面の凹凸を確認するにはギリギリの線でしょうか。借りた事のあるティカよりも明るいような気がしますが同時に比較した訳では無いので解りません。単三2本の安物懐中電灯の方が明るいです。

消費電流を測定すると、4.5V印加時に240mAも消費していました。3.6Vまで下げると110mAまで減少します。定電流回路の類は入っていないことが予想されます。ちなみに1灯ずつ順に点灯するモードでは、4.5V印加時で単純に約1/5の55mAの消費でした。

当然ながら3.6V駆動では相当暗くなりますし、順次点灯モードではメチャ暗くなります。何もないよりはマシですが、真っ暗闇を走ることはできません。

スペックではアルカリ電池で30時間を謳っています。240mAで30時間では7200mAHとなってしまい、単一アルカリでも持ってこない限り不可能なスペックです。3.6V印加時の110mAでも30時間では3300mAHとなります。これは高性能の単二型充電池のスペックです。

結局この場合の30時間というのは良くあるLEDライト達と同じで、明るさは急速に暗くなるけど消費電流も同様に落ちるのでぼんやりと点いているだけなら、白熱球よりも点灯時間は長く感じる・・・的な30時間だと解りました。


使い勝手です。

ゴムベルトの裏にはゴムの滑り止めが付いており、頭にちゃんとフィットします。ただ、最大限まで緩めても私の頭には少しキツイ感じがしました。大頭?の人は要注意です。

照射角は手元作業や歩きに良い感じです。ランニングでは少し近すぎます。頭の角度に個人差が有りますが、うつむき加減で走る人は特に感じると思います。ティカプラスでは調節式になったそうですが旧ティカでも同じ傾向ですね。

構造的にはベルトに付いた台座から、ライト本体が外せるようになっています。本体の裏には磁石が付いていて、車のボディーなどにも簡単に装着できると書いてあります。本当にそんなことをする人がいるのか疑問な仕様です。

しかし外す向きがなんと下向きなのです。下から上へ差し込んでクリック感の有る樹脂の出っ張りで止まっているだけです。これを設計したのが私の部下なら、即座にT定規で頭を9回くらい殴ってやる構造です。

総合的にはまあ、値段が値段なのでこんな物でしょう。特にLEDの電池寿命と明るさに関しては高価な製品でも大同小異です。この辺りは自転車のライトなどで懲りました。理屈で考えると解るし良心的なメーカーの説明書にはちゃんと書いてあるのですが、派手な広告に気持ちが少しだけ踊ります(笑)。このライトだけの問題では有りません。

電池寿命が10倍や100倍になっても明るさが変わらないなら、LEDの効率は白熱球の10倍や100倍無いといけません。LEDにはまだそこまでのアドバンテージは有りません。(低電圧印加時に白熱球のように抵抗が極端に小さくならないので、暗いながらも点灯を続けることはメリットと思います)

広告に大書きされた「電池寿命○○○時間!!」と同等以上の大きさで「数時間でずいぶん暗くなりますが・・・」の文章を入れてもらいたいものです。地面など全く照らしていない蛍のようなLEDライトを付けた自転車を見るたびに強く思います。


このボタンは、目次に戻るリンクです。