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Study the stress of Rear Spoke

エアロネロのクッション性の良さに刺激を受けて、手持ちのホイールも細目のスポークに張り替えてみようかと企み始めました。とりあえず初めの検討項目はリヤスポーク左右の張力比です。

ここにはリヤホイールのスポーク配置検討図が有ります。 シマノの9速リヤハブと、オープンプロの組み合わせで検討図を書いてみました。スポークをどちらから出すかとか、リムの接点はどの位置になるかとか、細かい話はとりあえず無視です(笑)。

リムが左右に動かないということは、左右のスポークの水平分力FHlFHrが釣り合っているということです。式で書くとFHl=FHrと言う感じでしょう。

左右のスポークテンションをそれぞれTlTrとすると左図と水平の力の釣り合い式と合わせて、次のようになります。
Tl*36/285=Tr*21/284

これを整理すると、Tr=1.71*Tlとなります。フリー側のスポークには、反フリー側の約1.7倍もの張力が必要だったのです。ちょっと想像以上でした。

次に実際のスポーク選定の目安となる、スポークの直径比に変換してみます。

スポーク中心部の応力は全張力と断面積だけで決まるはずなので、中央部の引張応力を等しくするための断面積比は、左右それぞれのスポークの直径をDlDrとすれば
1.71*π/4*Dl^2=π/4*Dr^2

これよりDr=1.31*Dlと言う結果になりました。フリー側には反フリー側の1.3倍の太さのスポークを使えば良いことになります。

たまに1.8mmと2.0mmなどの組み合わせを見ますが、中央の応力だけを見れば1.6mmと2.0mmや1.5mmと2.0mmの方がバランスが取れていることになります。


色々探してみましたが、この様な資料は見つからなかったので目安を計算してみました。結果的に想像よりも大きな差が出て驚いています。また、「おちょこ」構造はどう見ても力学的に美しくないと思います。「ならシングルにしろ!」とか言われると困りますが(笑)。

同じ太さのスポークで組んだ場合、スポーク中央部の引張応力にかなりの差が出ます。これは剛性にも左右のアンバランスが発生している事を意味します。

左のスポークも太い方が強度的には安心ですが、負荷時に左右のアンバランスが生じるのは美しくありません。カンパのG3配置は視覚的なデザインも含めて、非常に納得出来る設計であると思います(後輪に限ってですが)。

スポーク端部の局所的な応力なども考慮しないといけませんが、今後自分で組む後輪は何らかの対策を行う事になるでしょう。フリー側14に対して反フリー側15/16又はDTレボリューションなどと・・・


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