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Make the Torque Wrench(Ver2)

前回の検討結果にしたがって、材料を用意して実際にトルクレンチを製作してみます。ビームはVESSEL製5x200のマイナスドライバーを、差し込み部はストレートという工具屋さんの3/8角自在継ぎ手を利用することにしました。

トルクから考えると1/4角でも良さそうでしたが、1/4角のヨーク部は細くてφ4.8の軸が通りそうに無いのと、1/4角のコマをほとんど持っていないので3/8角を選択しました。

継ぎ手のピン穴は4.5mmでした。シャフトの実測値は4.78mmから4.79mmです。適当なリーマも無いので、4.7mmのドリルで穴を拡大し、丸ヤスリで適当に(笑)焼きばめ代を残して仕上げました。次にバイスに3/8角部をくわえて穴部を小形のバーナーで熱し、シャフトを一気に押し込みます。

ここには組み立て中のトルクレンチの画像があります。

この段階でビーム先端にバネばかりで荷重をかけてみると悪くない感じです。しかし断面が均一なのでどうしても根っこだけがたわむ傾向にあります。もしたわみが少なすぎて読み取りが難しいときは、先端にいくにしたがって側面をグラインダーでそぎ落とし、断面二次モーメントを減少させる必要があるかもしれません。


あとは工作の世界です。

荷重点が本当の「点」になるように、ドライバーの柄を丸く削ります。柄の中央よりはL型にそぎ落として座面にM3のタップをたて、目盛板が取り付くようにしました。

目盛板は3.0mmのアルミ廃材から切り出しました。同様に指針も0.5mmのアルミアングルから切り出します。この作業が一番時間と労力が必要な作業でした。目盛板を取り付けるビスは指針に干渉するので皿ビスです。

次は3/8角部の上に指針の取付座を準備します。電子工作用の真鍮製スペーサーで、M3の長ナットになっているタイプがあります。これを2個エポキシ系接着剤を使って3/8角上部に埋め込み、自在継ぎ手のヨーク部を綺麗な円筒形に成型しました。

ここには表から見たトルクレンチの画像が有ります。

形はこれで完成です。あとは目盛りを打つ必要があります。安物トルクレンチを試験したときのように、3/8角部をバイスにくわえて先端部にバネばかりで荷重を加えます。

実測するとモーメントアームは207mm有ったので、1Nmの目盛りを打つにはバネばかりで0.492kgfの力を加えればよいことになります。計算と作業を繰り返すと目盛りの下書きができあがります。

一応実用品と考えていますから消えない目盛りが必要です。お約束のSHR-300という安物(笑)リュータに尖ったカッターを付けて、マーキングと文字を削ります。出来た溝にマジックインキを塗り込み、表面をアルコールで一拭きするとそれっぽい銘板が出来ました。

ここには裏から見たトルクレンチの画像が有ります。

裏から見るとこんな感じで、市販のドライバーを使ったことがモロ解りです。作ってみて解りましたが、12Nmでも塑性変形せずにピタリと「0」に戻ります。シャフトの降伏点は本当に1000N/mm^2以上有るようです。

例によって5,000円の市販品を買った方が楽で確実なのが感想ですが、まあそれはそれです(笑)。


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