RIGHT STUFF, Inc.

Right Stuff Wrong Stuff


ホームセンター100V溶接機の改造

20年くらい前、ホームセンターの安売りで9,800円だった100V溶接機。GX250のスタンド溶接の仮付け位には使えないかと引っ張り出してきてみました。

外装が錆びていますが壊れようがない構造なので昔どおりに使えました。とは言っても昔の非力な100V機。ブレーカー近くのコンセントじゃ無いとアークが安定しないし、キャブタイヤケーブルも1.5mくらいしか無くて使い勝手が悪いです。

1.6mm溶接棒限定でも良いから、もっと使い勝手と安定性を良くしたい。非実用的な5%という使用率が少しでも向上しないか・・・と改造に着手してみました。


改造の内容は3カ所。背面に90mmファンを新設。ダイオードブリッジによる直流出力化。溶接ケーブルの断面積アップと長さ延長です。こんな感じになりました。

ここには改造した溶接機の画像があります。

背面のファンはジャンクで確保していた山洋の90mmで100V用。室内ではメチャうるさいけどこんな用途ならOK。 トランス一時側に入っている安全装置が落ちた後も冷却を続けるように、100Vのプラグを挿せば常時回転する様にしました。

ダイオードは丁度良い物が無かったので、ソーラーボートのPWM用として使っていた2SK1380をダイオード接続して転用しました。単品で60A-60Vなので2個くらい並列にしたい所ですが、全部で7個しか残っていなかったので4個で単純なブリッジにしました。ペンティアム90?用ヒートシンクに取り付けて、簡易的なモジュールにしています。

オリジナルのキャブタイヤケーブルはゴムは太いのに内部は5.5sq位しか有りません。長さもアース側が1mにホルダ側が1.5mと短いです。これまたソーラーボートで使った船外機のケーブルに交換しました。8sqでアース側もホルダ側も3mです。長さ的にはちょっと不安・・・


出来たのが夜中でいつものブレーカー近くのコンセントが使えないため、VVFの1.6mmが20mほど引き回してあるガレージのコンセントで試すことにしました。オリジナルの仕様ではアークが安定せずに使うことが出来ない場所です。

非常に不安でしたが結果は楽勝(^^)。20年ほど放置して乾燥も何もしていない1.6mm溶接棒+錆びたSS400の2.3tという組み合わせで簡単にアークが出ました。極性は溶け込みを期待してホルダがマイナスです。

ここには溶接ビードの画像があります。

20年の歳月で腕もさび付いている事を考慮すると(笑)、まあまあ良い結果では無いかと思います。ただ問題が一つ。使用率の5パーセントは改善されませんでした。この写真の長さが精一杯で、右端のクレーターが物語っている様にここで「ダンッ」と切れてしまいます。

一時側に入っている安全装置がどういう理屈で動作しているか解りませんが、何とか解明してファンを追加した分だけは使用率を向上させたいものです。短絡させれば良いのでしょうが、やっぱりこれは反則でしょうし。

ここには溶接ビードの画像が有ります。

ちなみに裏側はこんな感じ。1.2t、1.6t、2.3t位までの工作には使えそうです。


今回解った事として、改造元の機械とダイオードが手元にあるなら直流化はかなり有効みたいです。今まで使えなかったガレージでも使えるようになってしまいました。

ただ新しく買ってまでやるかと言えば微妙な話で、今は安価に半自動やインバータ式の直流100V機が出ています。また各家庭にもエアコンなどの普及に伴い、単相200Vが来るようになりました。200VならMIGやTIGが使えます(^^)。

プアーな機械に怪しい改造をするくらいなら、初めから新しい機種を買った方が良いに決まってます。私自身も180A位出る200Vの直流機かMIGの中古でも買おうかと悩み中です。

ただ・・・ベコベコに凹んだ灰色の筐体に大きなハンドル。1個無くなった上面のアイボルト。バックスキンのスパッツ付けたオッチャンが「抵抗器」と呼ぶ世界にも憧れが有るわけでして・・・女子供が片手で持てるインバータ直流機などを買って良い物かと(笑)。


このボタンは、目次に戻るリンクです。