RIGHT STUFF, Inc.Right Stuff Wrong StuffGX250 消費電力低減の検討 GX250は古いバイクなので、今の法規に則ったヘッドライトの常時点灯回路ではありません。巷では常時点灯のバイクにスイッチを追加して、ヘッドライトを消灯出来るようにする改造が盛んなようです。 そう言った人達から見ると無改造で消灯できるGX250は羨ましいのかもしれませんが、私は今の道路を消灯状態で走る気はないし、古いバイクは設計条件が違うので点灯時のバッテリー上がりの方が心配です。 この時代の設計者の気持ちになって考えれば、エンジン関係に必要な電力以外はブレーキランプとフラッシャーをたまに使うくらいしか想定していないでしょう。たまの夜間走行でライトを付けても、定常速度で放電側にならなければOKと・・・ 実際に試してみると、ヘッドライトを消灯していれば1,000rpmが充電できる最低回転数に対して、ヘッドライトを点灯すると閾値が一気に1,500rpmまで上昇します。ブレーキを掛けると2,200rpm必要です。これでは渋滞の中でバッテリーが上がってしまいます。 GX250は実用車と考えていますから、走行中に要らん心配はしたくありません。そこで定量的に消費電力を算出し、少しでも電力事情を改善する事にしました。
まず発電能力です。ACジェネレータの最大出力は12Aと有ります。12V基準で計算すれば144Wとなります。これはある程度のクランク回転数が見込める場合であって、回転が低い場合は界磁を最大に制御しても12Aは出せないでしょう。 ここで実際の消費電力を積算してみます。 4Ω(常温で簡易実測)のフィールドコイルに最大界磁を仮定以上より、ライトを常時点灯すると127W(10.6A)も必要となる事が解りました。最大出力が144Wの発電機では、1,000-2,000rpmの低速領域で苦しいのは当たり前です。 もし昔の様に点灯無しでよければ54W(4.5A)で済んでしまいます。新しい法規の下では必要な電力が2.35倍にも増加してしまっているわけです。
ここで法規を再確認してみました。 道路運送車両の保安基準第32条第7項には 二輪自動車及び側車付2輪自動車に備える走行用前照灯及びすれ違い用前照灯は、前各項の規定によるほか、原動機が作動している場合に常にいずれかが点灯している構造でなければならない。 と有ります。要は「バイクのエンジンがかかっている間はヘッドライトが点灯している仕組みにしておけ」ちゅう事です。旧車で消灯出来る位置にスイッチが動くのはグレーです。機嫌の悪いお巡りさんに切符を切られないように、スイッチに詰め物でもした方が良いかもしれません。 道路運送車両の保安基準第32条 1項の(1)には 走行用前照灯は、そのすべてを同時に照射したときは、夜間にその前方100メートルの距離にある交通上の障害物を確認できる性能を有し、かつ、その最高光度の合計は22万5000カンデラを超えないこと。 道路運送車両の保安基準第32条 3項の(1)には すれ違い用前照灯は、その照射光線が他の交通を妨げないものであり、かつ、そのすべてを同時に照射したときに、夜間にその前方40メートルの距離にある交通上の障害物を確認できる性能を有すること。 と有りますから、ヘッドライト内のマーカーランプのみでの走行は認められないと言う事になります。LEDで自作してもロービームの明るさは必要です。ウインカーをW球にして点灯しても代用できません(代用にはならんけど、やっちゃいかんとは書いてない)。 ヘッドライト以外を昼間点灯する必要性は見つける事が出来ませんでした。従ってテールライトの点灯は必要無いと思われます。実際に昼間にテールライトを点灯しても目立ちません。当然、メーター照明を点けろとは書いてありません。
ここまで調べて解った事は、昼間にテールライトやメーター照明を点けたままにしているのは効率的じゃ無いと言う事です。GX250の例で言えば、通常の点灯では127W(10.6A)必要だった電力がヘッドライトだけを点灯すると94W(7.8A)と26%も改善されます。 充電系統やバッテリーの強化なども重要かと思いますが、それらで26%の改善を行うのは至難の業です。とりあえず最初にやるべき項目としては、ヘッドライトのみ点灯は効果的と思われます。
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