RIGHT STUFF, Inc.

Right Stuff Wrong Stuff


GX250 ヘッドライト点灯回路の改造

消費電力の検討の結果、昼間はヘッドライトのみを点灯する事にしました。方法としては、今のスイッチ類を利用してゴニョゴニョやる方法と、発電出力を利用してリレーを駆動してエンジン起動に連動させる方法。。。等を考えてみました。

どっちでもそれなりにメリットとデメリットが有りそうでしたが、部品を追加するのが面倒だったので今のスイッチを利用する方法で行く事にしました。

肝心のGX250のサービスマニュアルは持っていないので、手持ちの他機種マニュアルを参考にしながら現物の配線を追いかけました。


ここにはオリジナルの回路図があります。

GX250の今回関連部分のみを抜き出した回路図です。同じ時期のヤマハ車に良く装備されているランプチェッカー(球切れ警報)は装備されていないようでした。これで考えるのが少し楽です。

パッシングボタンはHi/Lo切り替えスイッチのハイビーム部分に割り込んで来ます。今回の改造にはあまり関係が有りませんから割愛しています。

法規を満足して使い勝手も良く、改造量も最小で信頼性が落ちないやり方・・・色々悩んで次のようになりました。


ここには改造後の回路図が有ります。

改造後の回路図です。ライトスイッチの出力側で「PO」と「ON」配線を入れ替えています。結果的に「PO」位置ではヘッドライトのみが点灯し、「ON」位置ではヘッドライトとメーター照明とテールライトなどすべての夜間用灯火類が点灯します。

自分で勝手にスイッチの名称も変更しました。「PO」→「DAY」、「ON」→「NIGHT」です。

ヘッドライトのHI/Lo切り替えは普通に使えますし、パッシングも普通に使えます。もしライトチェッカーが装備されていても、スイッチ部分での切り替えなので影響は無いと思います。自分で試してないけど(笑)。


ここには改造前後の端子画像があります。

実際の改造作業はこんな感じになります。向かって左が改造前のハンドル右側スイッチからの配線です。メスのギボシがヘッドライト駆動でオスのギボシがその他の灯火類駆動です。

駆動する電源が出ているのに「オス」のギボシを使うなんて・・・とも思いますが、両方をメスにするとヘッドライト駆動と挿し違える可能性があります。色を変えるにも会社としての標準に則って決めていくと限られてくるし、組立や修理で挿し違えによるトラブルが怖いし・・・

ヤマハの電装設計の人は2週間くらい悩んだんじゃ無いでしょうか。家で風呂に入っていてもあれこれと考えてしまい、やっぱりオスで行こうと決めてもなかなか上司に説明できず・・・こういう部分を見るのは凄く好きです(^^)。

結局、改造内容は簡単で「スイッチから出たPOの線をONの回路に繋ぎ」、「スイッチから出たONの線をPOの回路に繋ぐ」だけです。ただしヤマハの設計者が悩んでくれたお陰でこの部分はフールプルーフでそのままでは挿し変える事は出来ません。

そのためにオスのギボシをメスに付け替え、メスのギボシをオスに付け替える必要があります。古い配線も端子ギリギリで切断すれば、それそれ5mm程度の損失で済みますから問題は無いでしょう。


スイッチなどの機能的には予定どおりの動作をしました。消費電力も計算上は(と言うかこの場合は実際も)26%の改善です。簡単な作業の割りには効果が有って嬉しくなります。

確認の意味で実際にアイドリング近辺での充電状態を調べてみました。「DAY」位置でヘッドライトのみを点灯していると、充電できる最低回転数は1,200rpmとなりました。以前はすべての灯火類を点灯しており1,500rpm必要でしたからはっきりとした改善です。

回転数の差としては300rpmしか有りませんが、アイドリング回転数が1,200rpmで有る事を前提に考えると大きな差があります。改善前はアイドリング中ずっと放電していますが、改善後はアイドリング中でもプラマイゼロです。

今回の改造で、常時点灯していてもバッテリーが放電側にはならない様になりました。街中を走っていて非常に気分が楽です。落ち着いて走れるので、少しは安全にも寄与したかもしれません。


このボタンは、目次に戻るリンクです。