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GX250 レクチファイヤの損失測定

充電系統を追っかけているときにふと感じた違和感。なんでレクチファイヤにこんなでかい放熱フィンが付いてるの??

GX250はレギュレータとレクチファイヤが別体だから、積極的に放熱するような必要は無いはずです。中身は整流用のダイオードが入っているだけなので発熱が少ないほど偉いに決まってます。


ここにはレクチファイヤ損失測定中の画像があります。

なんとなく嫌な予感がしたので測定してみました。スター結線の出力を整流するわけなので、内部には3組のすなわち6個のダイオードが入っているはずです。

電源装置と1Ωのセメント抵抗を用意して、12V程度を印加して10A時の電圧降下を測定できるように段取りします。結果は。

白→赤 1.4V(at10A)
白→赤 1.4V(at10A)
白→赤 1.4V(at10A)
黒→白 1.5V(at10A)
黒→白 1.5V(at10A)
黒→白 1.5V(at10A)

黒→赤 2.4V(at10A)

実際の使用時はセットとして働く訳ですから「黒→赤」への流れがトータルのロスになります。ここに10A流すとなんと2.4Vもドロップしているわけです。最大電流の12Aで計算すると12x2.4=28.8Wもロスしている計算になります。

28.8Wも発熱する部品なら、このくらいの放熱フィンがあっても不思議ではありません。むしろ少なすぎるくらいです。たぶん取付面への放熱や走行中の風が期待されているのでしょう。


部品の箱を漁って大きめのショットキーダイオードを探してきました。頻繁に千葉へ出張していたときに、若松?で安売りしていたのを買っていた「D83-004」というダイオードでした。定格が30A-40Vと少しだけ非力な感じですが、とりあえず試験してみます。
ダイオード1個で 0.45V(at10A)
ダイオード2個並列で 0.43V(at10A)
と全く違いました。この調子ならレクチファイヤと同じ構成で「3個並列の組を2個直列」接続した場合、電圧降下は0.84Vくらいで収まりそうです。その場合の損失は、12x0.84=10.1Wとなり、オリジナルに対してなんと17.8W(65%)もの改善になります。

これはもうレクチファイヤを作り替えるしか有りません。これだけで17.8Wも余分に使えるようになるか、同じ使用量ならジェネレータが楽になる訳ですから。


もしかしてこのGX250だけの不具合かと気になったので、手持ちのTX650のレクチファイヤも測定してみました。

ここにはTX650のレクチファイヤの画像があります。

結果は良く似たイメージで

白→赤 1.2V(at10A)
白→赤 1.2V(at10A)
白→赤 1.5V(at10A)
黒→白 1.1V(at10A)
黒→白 1.1V(at10A)
黒→白 1.5V(at10A)

黒→赤 1.9V(at10A)

こうなりました。見た目はこっちの方がボロだけど、同じ10A基準ならGX250よりも損失が少ないです。とは言ってもショットキーのデータを一度見てしまうと、もうこいつを付ける事は出来ません。


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