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GX250 ポイントのチャタリング対策

2次試作機は調子よく動いていますが、慣れてくると波形の中の汚い部分が目に付いてきました。

よく観察するとポイントのチャタリングに起因する乱れのようです。これを何とかしようと思いました。


ここにはポイントのチャタリング波形が有ります。

これは2SC1815のベース駆動波形(≒ポイントの電圧)です。接点が激しくオンオフを繰り返していることが解ります。さすがポイント式(笑)。

いつもこういった状態になるわけではなくて、3,000rpm辺りでアクセルを煽ったときになりやすい感じです。振動だから特定の回転数に依存するのも納得です。でもよく使う回転数だけにちょっと嫌です。


ここにはチャタリングした一次波形があります。

これは新しいマルチスパークシステムです。

と言うのは嘘でチャタリングしたポイントによってコントロールされた点火コイルの一次波形です。せっかく容量成分が頑張っているのに何回もグランドに落とされて無駄にエネルギーを消費させられています。


ここにはコンデンサ追加後のベース波形が有ります。

とりあえず2SC1815のベースと並列にコンデンサを入れてみます。多少立ち上がりが鈍っても何回もコイルの一次側をオンオフするよりは良かろうという判断です。

適当な検討では1000pFと出ましたが、同じサイズが2個有るのは2700pFだったのでそれを入れてみました。

2SC1815のベース駆動電圧を見てみました。数回転分を大まかに見ればこんな感じでよい雰囲気に見えます。


ここには拡大したベース波形が有ります。

ベースの立ち上がりを拡大してみると結構鈍っています。25usくらいかかっている感じです。しかしそのお陰でチャタリングは相当解消されました。


ここには少し汚いベース波形が有ります。

これは対策後の最も汚い部類に属するベース駆動波形です。頻度は少ないですがこういうのを見るとポイント式の限界を感じてしまいます。


ゲート駆動波形が有ります。

2SK3234のゲート駆動波形です。こちらも数回転分を大まかに見ると悪くありません。


ここにはゲートオフの拡大波形があります。

立ち下がりを拡大してみます。こちらも結構鈍っています。20usくらいかかっています。2SK3234の立ち下がり時間は100nsの単位なのでちょっといけません。

しかし一次波形で見る限り容量成分も十分に立ち上がっているので、ある程度の速さが有ればあまり関係ないのかもしれません。


ここには乱れたゲート駆動波形があります。

チャタリングしてしまったゲートの駆動波形です。駆動Trのベースにオンオフが残っているのですから、当然ゲートにもこういう事が起こりえます。これは良くないです。


コンデンサを追加することによってチャタリングをある程度まで押さえ込むことは出来ました。しかし完全では無く一定の頻度で汚い波形が出てきてしまいます。

これから先は悩む所です。まともに進化させるなら無接点化すべきでしょう。これはこれで検討したいと思っています。

別の見方としてはセミトラの手軽さも捨てがたい物があります。配線を数カ所繋ぎ変えるだけで旧車ならかなりの変化を体感することが可能だからです。機械部品が無いので車種にもあまり依存しないのも良いところです。

セミトラで進化させるには、たとえば駆動用Trと並列にワンショットマルチバイブレータを入れて出力を2SC1815のオープンコレクタで出し、今の出力とワイヤードORで繋ぎます。ワンショットのパルス巾を5msにしておけば、最初のポイント開から5msの間はチャタリングが起こってもFETはオンにはなりません。。。

同じ様な考えでポイント閉のタイミングまでコントロールできれば、低回転域ではドエルアングルを少なくして省電力化し、高回転域では増加させてコイルのエネルギーを不足させないように保つ・・・なんて事も出来るかもしれません。

こんな感じで考えていくのは楽しいですが、まあ、面倒くさがりなのでメンテフリーのフルトラに行きそうな気がします。


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