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GARMINの小さなUSBコネクタ

GARMINの新しい機種には従来のRS232Cに変わってUSB接続のモデルが増えてきました。本体が小さいためか通常のUSBコネクタよりも小さなコネクタが付いています。それについて調べてみました。

USBはUSB Implementers Forum(USB協議会とでも呼べば良いのでしょうか?)という業界団体が細かい仕様を決めて公開しています。その資料と見比べると共に、内部の結線を調査しました。


ここにはGARMINのUSBケーブル画像があります。

上の写真はGARMINのUSBケーブルです。向かって右がパソコンに差し込む標準のA型プラグです。向かって左がGPSに差し込むミニB型プラグです。

今はパソコンショップに行くといくつかのミニUSBと称するケーブルを売っています。形が微妙に違っていますし内部が5ピンの物と4ピンの物があります。私の持っているNIKONのデジカメにも、GARMINとは異なったミニUSBコネクタが付いています。

USB協議会が公開している資料を読んでみると、GARMINのケーブルに使ってある小さなコネクタが正規の「USB Mini-B Plug」と言うことが解りました。パソコン側が4ピンなのにGPS側が5ピンも有るのが変ですが、これが正規の仕様です。


仕様書を読んでいくと色々と面倒な規格が出来ているのが解ります。Mini-Bとほとんど見分けが付かない形状でMini-Aという規格があります。さらにMini-AMini-Bも差さるというMini-ABという規格まで有りました・・・

4ピンと5ピンは見れば解りますしパッケージにも書いてあるでしょう。問題はMini-AMini-Bですが、協議会のメンバーもさすがに見分けが付きにくいと思ったのか、内部に充填する樹脂の色を変えるようになっています。Mini-Aは「白」でMini-Bは「黒」です。GARMINのコネクタの中は、ちゃんと黒色の樹脂が入っています。


次は内部の結線です。こちらもUSB.orgのWEBに公開の資料に基本的な結線仕様が記載されています。しかしGARMINのケーブルには例のUSBマークが無い!?のです。ちょっと不安なのでテスターで調べてみます。

使用先標準 Aプラグミニ Bプラグ
V bus11
D -22
D +33
 NC4
GND45

標準通りでした。


ここまで読んで「よしっ、あそこで売ってた単三4本のUSB電池ケースを改造して、Forerunner301を外で充電出来るようにしよう。」と考えたあなた、ちょっと待ってください。

そう言うイレギュラーな事をする場合、メーカーの技術者以上に仕様書を読まないといけません。すると、USBの電源電圧は最大でも5.25Vと規定されていることが解ります。これは無負荷の時でも機器を接続した時でも同じです。

接続したら電圧が落ちるから良いじゃないか・・・と言うのは駄目です。電子機器は一瞬の過電圧でも破損することがあります。接続の瞬間にどこかの素子に無理をさせる事になります。

また、充電が完了してほとんど無負荷になったとき、GPS本体側の仕様によっては電池には電流が流れないけど制御回路には微小な電流が流れているかもしれません。こういう時は制御回路に電池4本分の6Vなどが加わる可能性が高いわけです。

従ってこういう事をやりたい場合は、仕様書よりも電圧変動の範囲を狭いくらいに想定して、どんな状況でも4.8V-5.2Vくらいに収まる安定化された電源を用意する様にしないといけません。こういうのが出来ない人はメーカーがオプションで設定してくれるのを待つしか無いのです。


・・・などと、今回は最後が偉そうな説教じみた文章になってしまいました(笑)。

eTrexの外部端子に単三2本をそのまま繋ぐとか、USBには単三4本繋げばOKとか、そう言った情報をちらほら見聞きしますし、私の所にも質問が時々来ます。そんな状況なのでちょっとだけ書きたくなってしまいました。


ここにはミニAプラグの画像があります。

おまけの画像でミニAタイプのコネクタです。ちょっとピンぼけでごめんなさい。

規格通りに内部の樹脂の色が白になっています。ミニBと見比べると違いがわかりますが、単品で見ると中々判断は難しいです。

上にミニAB規格の事をちょっと書きましたが、このジャックを使った両刀使いの機器のために、ミニAミニBの4番ピンはIDとして使われます(Forerunnerの様にホストに成り得ない機器にミニBプラグしか挿さない場合には関係ありません)。

ミニAプラグの4番ピンは5番ピンすなわちグランドに接続されています。反対にミニBプラグの4番ピンは何処にも接続されていません。これを検出することによって、両刀使いの機器は自分が「ホスト」として振る舞うべきなのか「USBデバイス」として振る舞うべきなのかの判断を行います。


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