RIGHT STUFF, Inc.Right Stuff Wrong StuffHP8657Aのコンデンサ交換 秋月のMAX038ファンクションジェネレータでは上が不足して、大昔のTORIO製真空管SSGでは発振しているかすら怪しい・・・と言うことで我が家の測定器に追加となったHP8657A様。例によってジャンクしか買えないので使う前に修理が必要です(笑)。 とりあえず信号は出ているようですが、中を開けてみると大きなコンデンサから液漏れが発生していました。まあ、このあたりは古い機械にありがちな事なので驚くことは有りません。 しかし形状が特殊なので交換にはちょっとだけ工夫が必要でした。
交換前の状態です。一番大きな青いコンデンサにひびが入って液が漏れています。幸いにも(設計が良いからか?)大きな平滑コンデンサ類は、裏向きに装着された最下層の基板に取り付けられていたために、電解液は基板にはかからずに底板の内側を汚しただけで済んでいました。運が良かったのか、さすがHPと言うべきか。 非常に見にくいけれどもサービスマニュアルがWEBで公開されているので、それを落として現物と見比べます。結構面白い配置になっていて、トランス類は後ろにまとめてあるのに平滑コンデンサは大きな基板に装着してあります。そこからまた後ろへ線が延びてそこにシリーズレギュレータが有ります。そこからまた線が戻ってきて基板に電源が供給されます。 +5V、+15V、-15Vの3つの系統があります。回路的にはコンセントにプラグを差しているとコンデンサには常時給電されています。このあたりは水晶用のオーブン駆動などの絡みが有るのでしょう。そのために電解コンデンサにとっては厳しい環境です。 交換に当たって、寸法面も大きな問題となりました。あまり見ないような細長い形状ばかりです。最大の寸法を測ってみると、床板とプリント基板との最大隙間は40.52mmなので最大径は35mmまでと解りました。
コンデンサの形状が違うので、オリジナルのプリント基板の穴に最短で配線できません。ちょっと気になりますが元々の配線が後ろと前を行ったり来たりで引っ張り回して有るので気にしないことにしました。 機械的な振動でトラブルが起こらないように、オリジナルと同じようにインシュロックできっちりと固定しておきます。
交換前の+5V系コンデンサ両端の電圧波形です。
交換後の+5V系コンデンサ両端電圧波形です。 Vp-p、Vacrmsともに改善されています。でも元々の状態も思ったほど悪くなかった様です。温度などが変わるとどうなっていたかは解りませんが。
交換前、+5V系のレギュレート後の電圧波形です。
交換後の+5V系レギュレート後の電圧波形です。 こちらも若干ですが改善されています。
交換前の+15V系コンデンサ両端の電圧波形です。
交換後の+15V系コンデンサ両端電圧波形です。 このコンデンサには液漏れが有りませんでしたが、若干改善されました。
交換前、+15V系のレギュレート後の電圧波形です。
交換後の+15V系レギュレート後の電圧波形です。 こちらも改善されました。コンデンサ両端電圧よりも改善度合いが高いような気もします。
交換前の-15V系コンデンサ両端の電圧波形です。
交換後の-15V系コンデンサ両端電圧波形です。 これは見ただけで解るくらい改善されています。大きな要因は容量が3900uFから6800uFへと増加した事が大きいと思います。
交換前、+15V系のレギュレート後の電圧波形です。
交換後の+15V系レギュレート後の電圧波形です。 こちらもコンデンサ両端と同様に改善度合いが大きいです。
とりあえず液漏れの不安から解消されたし、波形データ的にも悪い結果にはならなくてホッとしました。 この後、サービスマニュアルを読みながら各部電圧値を調整していきました。高周波系は測定器が無いので出来ません。今後は色々なデータと比較しながら、だいたい正しいんじゃ無かろうか・・・という感触を積み重ねて行くしか有りません。
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