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過大入力でスパナはどこが破損するか

バレンタインデーに嫁さんが面白いチョコレートを買ってきました。スパナ、モンキー、ペンチ、タガネのセットです。

あんまり良くできているのでガレージに置いている3本ローラのナットを締めてみました。


ここにはスパナを使用中の画像があります。

写真で見るとメッキ無しの普通のスパナに見えます。チタン製の防爆仕様で1本4,000円と言ったら信じる人が居るかもしれません(笑)。

このまま息子に締めさせてみました。この段階で私は、口のサイズが書いてある部分が壊れるんじゃ無いかと思っていました。


ここには破損したスパナの画像があります。

結果はこの通りで、口を開くような形で顎の部分が折れてしまいました。

当然、鋼とチョコレートは物性が違いますからまともな比較は出来ませんが、形状的なバランスとしてどこが弱いのかのお遊び的な検討は出来ます。


ここにはモーメント線図が有ります。

検討結果はこんな感じでしょうか。手に持ったところにF1=1Nの力を加えると
18xF3=118x1 より、F3=6.56N
F1+F2+F3=0 より、F2=-7.56N となります。

ここで壊れた顎の部分のモーメントは単純に
F3x18=6.56x18E-3=118.1E-3Nm で良いでしょう。

私が弱そうと思ったA点のモーメントは、顎の複雑な部分を無視すれば右側の単純な片持ち梁の根っこと考えて、
M=F1x100=1x100E-3=100E-3Nm に近い線じゃないでしょうか。

一般的にもこのスパナでも、B点の方が厚みが増やしてあります。しかしA点の方が高さが相当有りますから、IもZもA点の方が優位にある可能性が高いです。

応力集中の面で考えても、顎の内側で角になった部分が一番応力が集中しそうに思えます。 って、壊れてから言ってもね(笑)。


なるほど・・・と言う感じでした。

機械設計をやっていた人間なら、そんなこと最初に気づけよ・・・と言うのは置いといて。まあ、バレンタインの夜の楽しいお遊びと言うことで。


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