RIGHT STUFF, Inc.Right Stuff Wrong StuffXS650(XS1B) タコメーターケーブルを作る 私のXS650にはどうもTX650のタコメーターケーブルが付いている様です。TX650用は見るからに短くてハンドルを切る度にタコメーターを引っ張っています。部品取りのTX650を入手したき、良くチェックせずに状態の良いケーブルに交換してしまったのでしょう。 引っ張ることがタコメーター故障の原因と思われるので、再発防止のために今の内に対策をしておく必要が有ります。純正部品は256-83560-00で出ます。値段は1,439円で高くありません。 注文しても良かったのですが、たまたま手元にGX250用のスピードメーターケーブル新古品が有ったので、それを活用してみることにしました。
XSのクランクケース側はナットの大きさが大きくてGX用の新しいナットは使えません。従ってこの部分は流用します。 エンドの金具を引き抜いて、中に先端がテーパーになった丸棒を入れながら外周を叩いて円筒に戻します。3番のプラスドライバの軸がぴったりでした。 次に長さを決めてGX250のケーブルを切断し、端面をグラインダーで整えてエンド金具に挿入します。ちょっと緩かったのでハーネス用のテープを1周巻きました。 カシメ作業は同軸用のカシメ工具を使いました。仕事柄この手の工具が沢山有るもので・・・再メッキしていないので見た目は悪いですが、綺麗に六角形にカシメられています。 ちなみに長さは、付いていたTX650用と思われるケーブルはアウターのエンド金具の面<->面で745mm。インナーが790mmでした。新しく現合で作ったケーブルは、アウターが760mmでインナーは802mmにしました。
アウターは自転車のブレーキワイヤーに毛の生えた位なので簡単にできましたが、インナーはなかなか難物です。 どうやってあの四角形に成型したら良いのかわかりません。叩いたり万力で縦横を押さえてみても旨くできません。同軸用の圧着工具に四角の穴を開ければ何とかなりそうですが、どれも仕事用なので加工する訳にはいきません。 安物ボール盤に付いてきたマシンバイスが犠牲になりました(笑)。バイスに紙を鋏んで最初は1mmくらいの穴を開けます。四角の二面幅は2.5mmなので、2.5mmのドリルで穴を拡大します。 最後はサイズのあった4角のヤスリで断面を成型します。マシンバイスの口を微妙に開閉すればちょっとだけ締め代のある対辺2.5mmが出来ます。
最初は廃材で練習します。しかし簡単には旨くいきませんでした。まず先端がほつれてしまいます。そこでとりあえず中央部からカシメて見ると今度は全体に捩れた感じになるのです。 そうこうしていると、おまけのマシンバイスのあごが折れてしまいました・・・流石に安物のおまけだけ有ります(笑)。そう言えば口金もヤスリでガンガン削れたのでSS材かもしれません。何回もトライすると角が丸くなりそうです。 仕方ないのでその後は万力に鋏んで圧縮することにしました。作業性が酷く悪化しましたが仕方有りません。 始める前に不思議だった事の一つに、四角の部分だけ硬くなっていることがあります。どうやって硬くするのか解りませんでした。熱を加えてあるのか、ロー付けみたいなことがしてあるのか不思議でした。 ところが捩れては居ても圧縮して四角断面にしてみると、その部分だけが見事に硬化して一本の棒になっているのです。圧縮することでひとりでにこうなるみたいです。
試行錯誤を繰り返していくと段々解ってきました。先端のほつれ止めは電気溶接機で一瞬だけスパークさせればOKです。ホームセンターの9,800円の溶接機で十分です。 全体に捩れてしまうのは、素線がそこそこ硬い材質を使ってあるので弾性で戻って居るようです。そこでミニバーナーで赤くなるまで炙ってから圧縮してみました。するとストレート形状に成型出来るようになりました。 最終的には上の写真よりももう少しだけ綺麗に出来上がりました。製品には及びませんが、普通の中古車に付いているケーブル程度の形状にはなっています。メーターに差し込んでもしっくりと入ります(^^)。 もうこれでメーターワイヤが欠品になっても怖くありません。また、ちょっとだけ配置を変えたときにも専用のワイヤーで綺麗に納めることが出来ます。でも試行錯誤を入れて4時間くらいかかりました。時間チャージを5,000円としても2万のケーブルです。ハハハ。
装着してみました。良い感じのRでケーブルが収まっています。 アクセルワイヤーが、次は俺の番だと主張しています(笑)。
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