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XS650(XS1B) CVキャブのスプリング

私のXSにはミクニ・ソレックスのCVタイプキャブレター「BS38」が2個装着されています。長い眠りから覚めて割と調子よく動いてますが、プラグは両方ともくすぶりがちです。

キャブは標準的な清掃しかしていないので、細かい所を煮詰めていこうと蓋を開けたらあらびっくり・・・スロットルバルブの上のスプリングが左右で違います。

深夜に作業したので写真を取り忘れましたが、スプリングの長さが左は140mmで右は170mmと大きく異なっているのです。今まで何回か開けてニードルジェットの段数変更などをしているはずですが、全く気がつきませんでした。


それぞれの寸法を測定してみると、
左は、素線径:0.9mm、コイル中心径:21.5mm、有効巻数35巻、自由長:140mm
左は、素線径:0.9mm、コイル中心径:21.5mm、有効巻数35巻、自由長:170mm
となっていました。

丁度同じばねを伸ばした感じになっています。しかし全てのピッチが綺麗に揃っていますしばね自体も一直線です。作業中に引っかけて伸ばしたとか、誰かがわざと伸ばしたとは考えにくいほど綺麗な形状です。

元は解体屋で買ってきた訳ですから、適当に良く似た部品で修理してあったのでしょうか。若かりし日の私はそれに気付かずに乗っていたわけです・・・

このまま済ますわけにはいかないので、ばねの計算をしながらばね定数を実測してみました。

ここにはばね測定中の画像があります。

弊社が誇る汎用型高性能ばね測定器です。


このような場合3つの可能性があります。
1、140mmが正規品
2、170mmが正規品
3、両方とも間違い
ちょっと仕様が違うのですが、部品取りに持っているTX650のばねとも比べてみて、たぶん140mmの方が正規品だろうと決めつけて作業を進めることにしました。

素線径はノギスレベルでは同一径と思われます。理屈からいくと170mmの自由長を140mmまで縮めてやれば同じ仕様になります。しかし相手はばねなので、密着させたくらいでは140mmにはなりません。

色々考えて、針金で縮めた状態でバーナーで炙り、その後急冷して短くすることにしました。冶金学的には別物になってしまいそうな気もしますが、今のままよりは100倍ましと考えて実行しました。

ここには改造後のばねの画像があります。

数回繰り返したら形は悪いけれども140mm程度に縮めることが出来ました。しかし、なぜだか解りませんがばね定数が計算通りにならないのです。

ピッチの大小はありますが、全長は140mmくらいになっています。何故でしょう。悩んで色々試してみましたが解らず、結局使用範囲で近い値になるように切断してしまいました。


ここにはばね定数のグラフがあります。

今回の件をグラフにしたものです。「黄緑」が正規品と思われる140mmのばねです。大きく離れた位置にある「青」が最初に付いていた長いばねです。こんなに仕様が違っていて同調するわけがありません。

「黄色」が赤熱して全長を140mmまで縮めた状態です。「黄緑」に重なる予定でしたがかなり「強いばね」が出来てしまいました。過熱して横弾性係数がこんなに変わるのでしょうか???それとも素線径がちょっとだけ太かったのでしょうか。たしか4乗で効いてくるはず。

「紫」が仕方なしに端を切断したばねです。このキャブレターの場合、ばねの使用範囲はアイドル時に66mmで全開時に40mm程度です。従ってその範囲だけでも近い仕様になっていれば何とかなろうと考えた結果です。

全長は123mmになりました。常用するアクセル1/4開程度ではグラフがほとんど重なっていますから、実用的には同じばねが出来たと思いこんでおきます(笑)。

「水色」はTX650-2型のばねです。素線径やコイル径、巻ピッチはXSと同一ですが有効巻数が28巻しかありません。そのために自由長も118mmと短く、同じ取り合いであれば加重も少なくなっています。


今回は良くわからないままに最低限のつじつまだけを合わせる整備になってしまいました。あとで調べ直してきちんとしないといけません。このままでは何時までも寝覚めが悪いです。

ということで、この世界では有名な山之内キャブレターに電話して見ました。しかしこの部分のばねの在庫は持って居らず、他社種に関しても新たに作ったりした経験は無いと言われてしまいました。

他社種でも良いので近いばねを付けておいて、あとは各種入手できるジェット類でセッティングするしか無かろうと・・・まあ、ごもっともな意見です。


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