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XS650(XS1B) プラグコードとプラグキャップ

細かい調整の段階に入ってきて、プラグコードとプラグキャップが気になりだしたので交換です。


ここには同軸ケーブルを装着した画像があります。

普通の中古車程度には動くようになったのですが、どうも右の方がくすぶりがちです。特にアイドリング近辺で。プラグキャップを外してみるとプラグコードに芯線がはいっていません。

よく見ると奥の方に1本だけ素線が有りました。テスターで測定してもほとんど無限大で、芯線のフレッシュな面に振れたときだけ0Ωになるようです。

まあスパークはしているのでしょうが、若干のロスが有るのは確かなのでコードを新品にすることにしました。湯佐部品に聞くとキジマの黒が注文できるようなのでそれを注文します。在庫で赤が有ったけど赤はちょっと・・・

部品が来るまでの間に合わせとしてこんな物を付けてみました。ちょっと太めのテレビ用75Ω同軸ケーブルです。アンテナ工事の残りです。

普通に使えてしまいました(^^)。右のプラグの焼け具合も良くなりました。部品が来るまでの約1週間乗ってみましたが1回も問題は出ません。


ここにはコードの比較画像があります。

上からキジマのシリコーンコード、5C-FV同軸ケーブル、純正のプラグコード、です。どれも太さはほとんど一緒です。見た目もほとんど変わらないので、言わなければ誰も気がつかないでしょう。純正品もキジマのも、意識して抵抗を持たせては居ません。

だから市販のプラグコードは色が付いているのが多いのか!交換したことが解るように。

今回の実験では同軸でも通常使用時には何とかなる程度の耐圧が有る事が解りました。長期の機械的な強度面では全く期待が出来ませんが、劣化した純正コードよりは性能が良かったです。参考までにプラグコードの性能に関してはJIS-C3405に規定があります。

同軸使用の際に短期的にも気になるのが廻りの編素部分です。この部分はアースには落として居ませんが、適当な電荷を溜めてしまってある程度の容量を持ってしまうような気がします。

そうなると2次側の容量が変に増大してしまい、点火系設計時のバランスが崩れてしまう可能性がありそうです。編素をアースに落とせば良く自作例が紹介してあるような似非ノロジーに早変わりです・・・XSに有効とは思えないのでやりませんが(笑)。


ここには完成画像があります。

最終的にまとめたのはこんな感じです。純正とほとんど同じ取り回しと見栄えです。XS1の場合片側のプラグコードが500mm程度です。従ってキジマの1mで1,300円位のコードで左右が交換できます。

私はこのXSに普段の始動性の良さや燃費、中速域での加速感などを求めています。点火系に限定すれば、容量成分よりもその後の誘導成分を増やした方が好結果が得られそうです。

またXSの点火コイルは古いポイント式用なので1次電流が少なくて2次のインダクタンスが大きいです。こんなコイルの2次側に容量成分を追加したりしたら、プラグが不調の時には立ち上がりが遅くなって失火の可能性が高くなります。

実物を見るとオートバイにしては長めのプラグコードがフレームに沿って走っています。この部分の容量が気になります。純正は機械的な保護が主体とは思いますが、上にもう一皮ゴムがかぶせて有ります。気になるのでこのゴムをキジマのコードの上にかぶせておきました。

この作業の際にかぶせてあるゴムチューブを二つ割りにしてしまったので、装着後にハーネステープでぐるぐる巻きにしてあります。近寄ってみるとちょっと格好悪かったりします。


ここには分解したプラグキャップの画像があります。

上記の作業が完了した後は良い感じ!と思っていましたが、同じタイミングでGX250のプラグキャップからポイントカバーへ放電を初めて失火しました。古いオートバイはこういうのが起こるから油断できません。

気になるのでXSのキャップも調べてみると、両方でキャップの形状が違います(笑)。しかも両方ともキャップの抵抗が無限大です。芯線に繋がる導通が有るべき部分が・・・

予備が有ったので無限大のキャップを万力で鋏んで壊してみると抵抗入りのプラグキャップでした。抵抗とばねは写真の通りに綺麗でしたが、それ以外の部品は表面が腐食でもっともっと酷い状態でした。(材質を見るために軽くワイヤーブラシでこすった後の画像です)

抵抗値は5.8kΩ。たぶん5kΩの規格品なのでしょう。誤差が有るのは劣化じゃなくてたぶん最初から?雑音防止の抵抗なんで3割くらい狂っていても何とも無いでしょうし。

各接触部の表面に不導体の被膜が出来てしまい、テスターレベルでは無限大の抵抗になっています。使用の際は被膜を破ってどこかで放電しながらプラグに給電されているのでしょう。

高圧下のプラグギャップ部分に比べると大したロスでは無いかと思いますが、やっぱりテスターで無限大が出てしまうと気になります。


ここには各種プラグキャップの画像があります。

手持ちのプラグキャップを総動員して測定してみました。大半が無限大です。ガーン。。。

唯一11kΩと24kΩの物があったのでそれを装着しておきました。長いのはZZR250のキャップですが、これだけは両方とも約5kオームで正常値を示していました。やはりこの程度新しくないと駄目なのでしょう。

ついでなのでプラグコードの抵抗も測定してみました。素性が解っているXS1、TX650、XS400(フルトラ)、XS400(DOHCフルトラ)、ZZR250(フルトラ)、の全てが抵抗無しのプラグコードでした。ZZR250くらいは抵抗入りかと思っていたので意外です。

近所のホームセンターにはNGKのハデハデなキャップしか置いてません。ネットで探すと黒が注文出来たので注文してみました。1個が600円位です。

新しいキャップの注文時に抵抗入りにするか抵抗無しにするか悩みました。雑音の面から言うと抵抗入りにして置いた方が無難です。しかし性能面では抵抗無しの方が希薄混合気への着火性が若干良いというデータも有ります。

将来的にイリジウムプラグなどを装着する場合、入手性や商品ラインナップから抵抗入りプラグになってしまうことが予想されます。もし抵抗入りキャップにしていると2重に抵抗が入ることになります。

プラグの品番などから想像すると、点火系設計時はプラグキャップだけに抵抗を入れてプラグは抵抗無しで設計してあったと思われます。キャップは抵抗無しにして、雑音防止により効果的なプラグ側に抵抗を入れる思想の方が合理的と判断しました。エネルギー十分な点火系なら、GPSの事などを思ってキャップも抵抗入りにすべきでしょう。

抵抗無しのキャップを手配しました。「LBEPK」です。最初のLは90度のL型。次のBはNGKプラグのB型に合うこと。その辺までは想像が出来たのですが、その後は解りません。抵抗入りはBの後に5kΩなら05が、10kΩなら10が入るみたいです。


NGKの「LBEPK」が来たので交換してみました。交換前に抵抗を測ってみると当然ながら0Ωでした。

ここには交換後の画像があります。

形は最初から付いていたものとほとんど差がありません。違うのは側面に「LBEPK」の文字が入っていることと、上面に「NGK」の文字が入っていることです。文字は白なのでえらく目立ちます。私的には微妙な所(笑)。

このプラグキャップのプラグ側差し込み部は太いタイプです。ねじにガリガリっと差し込むタイプでは無くて、頭のキャップが必要なタイプです。これからはこのタイプの方が好都合です。頭のキャップが取れないプラグも有りますから。

交換して最初の暖機で違いがわかります。アイドルの安定が早いのでアクセルを煽っている時間が短いです。これは抵抗無しのプラグキャップが良いと言う意味ではなくて、古くて抵抗値も訳わからんキャップから交換した為でしょう。走行中は差を感じません。

今回のプラグキャップは1個が567円でした。その程度は効果があります。でも大きく「NGK」と書いてありますから、デンソーやチャンピオンのプラグが使いづらくなってしまいました(笑)。


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