RIGHT STUFF, Inc.Right Stuff Wrong StuffXS650(XS1B) シートの修理 とりあえず最低限の機能はしているけど、錆の粉がボロボロ落ちてきて気分が悪いしスポンジが硬くなってクッションも悪いので修理してみようかと・・・
スポンジとベース金物が接触している部分の錆が酷いです。鉄板とスポンジ両方の錆を全て落とします。これでシート下に真っ赤な粉が降り注いでくる悪夢から解放されます。 さらに湿気や酸素が悪さしているのでしょうか、錆びている部分のスポンジが硬質発泡ウレタンみたいになってしまって全くクッションが有りません。この部分も指でむしりとるようにして削除します。経験は無いけどガン細胞を切り取る医者の気分です。 素材としてスポンジを買うと高いので、ホームセンターの中を3周くらいして「座布団用の入れ替えウレタンスポンジ」498円を見つけてきました。ちょっと柔らかすぎるけど圧縮しながら詰め込めば何とかなるでしょう。
ベース金物はカップブラシを装着したディスクグラインダーを使って錆を落とします。隅々に気になるところは有るけど、めんどくさいのでそのままラストマスターの黒を吹き付けてお終いです。 鉄板に穴までは空いていないので、弄ってきたオートバイの中では軽傷かもしれません。穴があったらFRPを積層する予定でした。
ガン細胞部分を削除して、その部分に座布団用のウレタンスポンジを埋め込みます。新旧スポンジのばね定数というかヤング率というか、へこみ具合を想像して幾分出っ張り気味に新しいウレタンスポンジをはめ込みました。 縁ゴムは純正品は塩ビみたいな材質でした。ふちの長さも外が長くて内が短いです。ホームセンターで買ってきたのは詳細不明のゴム製です。縁の長さは内外対称で縁の外側も角張っています。しかし贅沢は言えないのでこれを使います。実使用量は1,800mmくらいでした。
モールは唯一ステンレス製だったようで錆びていません。しかし固定金物とビスが普通の軟鋼だったようで錆だらけでした。見た目がピカピカじゃなくても良いけど、一度手入れしたこういう部分が錆びるのは嫌なのでステンレスで作り替えます。 オリジナルの四角座金は1辺が12.5mmくらいの正方形。厚みは錆で解らないけど0.6-0.9mmくらいと思われます。皿ビス用の座ぐりというかバーリングというかへこみが設けてあります。レールに入る部分は両側を2.5mmくらいの幅で一段落とし込んであります。小物のくせに設計の芸が細かいです(^^)。 完璧に同じは無理なので、とりあえず機能する程度に作りました。板厚は0.5mmと1.0mmで迷ったけど1.0mmにしました。結果的に半分失敗で、susの1.0mmは加工しづらくて往生しました。やっぱり0.7mmくらいが良いと思います。 表皮の穴修理です。京都で使っていたときにカッターナイフの先みたいなヤツで何カ所も刺されてしまいました。嫌なヤツが居るもんです。ここから水が入ってウレタンが加水分解してカチカチのモロモロに成ってしまいます。雨上がりに乗るとパンツまで水が染みてきます。 裏からパッチを当てるとそこだけ硬くなるし形が表に出てきます。そこで表面にマスキング的にビニールテープを一時的に貼り、裏面からスーパーXを流し込んで少し盛り上げてやりました。硬化したらビニテを剥がして完成です。
一番痛みやすい前の部分です。XS1はタンクの固定がされて居らずこの部分でタンクを押さえています。そのためかこの部分だけが痛んで穴やひびがありました。 丈夫そうな布を裏から貼り付けて修理です。
完成しました。天気も良いので庭に出してコーヒーでも飲みながら眺めて見ます。 試乗してみると少しだけ足つき性が悪くなっていました。しかしそれ以上にクッションが良くなってかなり快適に乗ることが出来ます。また一部だけがへたって固定したポジションしか取りにくかったのですが、へこみが治ったのでポジションの自由度が増しました。 赤さびの粉も落ちてきません。でも処理が完璧じゃ無いので5年くらいしたら落ちてくるかもしれません。その時はFRPで作り直しましょう。
低身長・短足の人間にとって足つき性の悪化は死活問題ですが、乗り心地が良くなったのだから文句は言えません。ガストンライエのBMWを思えば、私のXS1なんか両方のつま先が着くんだから涙が出るくらい十分です(笑)。
オマケです。本来なら私の時代のXSにはパッセンジャーベルトの固定にこの画像の金具が使われています。今私が装着しているのは解体屋で買ってきたXS650Eのシートなのでベルトはモールの下を通っています。この金具は後でオリジナルタイプに戻そうと思って、痛んだ古いオリジナルシートから外して保管しておいた物です。 初期のXS1ではシート側面に穴を開けてそこにパッセンジャーベルトを通してあります。多分モールの部分を通す事によるデザイン上の乱れとか、機構的な無理を嫌ったのかと思います。この金具は穴の廻りの補強とボロ隠しのワンポイントが目的だったのでは無いでしょうか。 若い頃の私が外して保管していたこの金具、、たぶん一生出番が来ないような気がします。なぜならオリジナルの方式はシート側面の切れ目から水が入ってしまうという決定的な欠陥が有るからです。飾っておくなら良いのかもしれませんが、実用品として使っている人間にとってはスポンジは痛むし太ももは濡れるし・・・防水の解決策を思いつくまで日の目を見ることは無いでしょう。 |