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XS650(XS1B) キャブレター色々

それなりに走れるように成ってきたのですが、パイロットスクリューの戻しがほとんどゼロに近いところで安定したりして、いくつかおかしいところが有るのに無理してセッティングを出した感が濃厚です。

XS1のキャブは放置していた割りには綺麗で、分解してジェット類を掃除(と言うよりも確認)しただけでくみ上げて使っていました。今回はもう一段階細かい部分を一通り確認してみることにしました。

今回の注目点は、スロー系その物とそれに影響を与えそうな部分、スターター系、スローに近い開度での左右バランス、加熱時に変に成りそうなところ、等です。


ここには半田メッキ直後のスタータプランジャ画像があります。

半田を盛りつけた状態のスタータプランジャです。一番疑わしい場所で、ここが原因であれば楽で良いなと思っていたプランジャ先端のゴムは無実でした。生まれた時から所有している"生体真空ポンプ"で試した結果、左右ともしっかりと混合気をシャットダウン出来ている事が確認できました。

しかしゴムはカチカチに成っていたので交換します。純正のゴムは厚みが2mmでしたが手持ちのシリコーン系ゴム板は1.5mmです。裏に0.5mmのガスケット紙を追加して合計2mmにして挿入しています。プランジャ先端の穴径は6mm程度と思われますが、6mmで打ち抜いたゴム板は緩かったので、7mmのポンチで打ち抜いた板を使っています。

ちょっと問題かと思ったのはバルブ側面のシール性です。スタータ系統はスロットルバルブよりもエンジン側に開口しています。と言うことはアイドリング時には-400mmHg以上の(国語的には以下と書くべき?)負圧が常時かかって居るわけです。先端にはゴムが付いていますが、側面は亜鉛合金?のキャブ本体と快削黄銅?のプランジャのハメアイだけで持たせて有ります。

エンジン側のスタータ系統開口部から生体真空ポンプで吸引したところ、チュウチュウと漏れが確認できました。私はミクニの技術者じゃ無いので、定量的にこの量がアイドリングに影響を及ぼすかどうか解らなかったのですが、せっかく開けたのだから出来るだけの事はしておこうと・・・表面を半田鍍金してボール盤に咥えて紙ヤスリで研磨してみることにしました。

メッキ前は左右とも7.96mmの直径でしたが、メッキ後は7.96-8.00程度の太さまで増加しました。それでもスムーズに昇降させることが出来ます。設計時は穴をH7とかそんな公差で考えて居たと想像すれば、8.00mmの軸がするする入ってはいけません。と言うことはキャブ本体側も結構摩耗している様な気がします。もし私がお金持ちでリペアキットを10個位買い込んで毎年交換していったとしても解決しないわけです。

イギリスのお金持ちクラッシックカーマニアなら、こういうときは研削盤を購入して8.02mmくらいの径でプランジャを削り出すんだろうな・・・などと縁遠い想像をしながら、今回は怪しい半田メッキでお茶を濁します。効果としてはチュウチュウがチュッ、チュッ程度に改善されました。


ここにはシャフトを繋ぐチューブの画像があります。

スロットルバルブ両端の軸受けです。ここにも吸入負圧がかかっていますからしっかりとシールされて居るべき部分です。アームが付いているほうはシールを入手していないのと試験が面倒なので見て見ぬふりをしています(笑)。

アームと反対側は軸が短く切られていて、本来ならシールじゃなくて盲蓋にしておけば良さそうな部分です。こちらは試験だけは出来ました。この部分にビニールチューブを被せてパーツクリーナで試験したらジワジワと漏れてきました。

しばらく考えて素晴らしく安価な対策を思いつきました。この写真の通りに短いチューブで左右の軸受けを連結してしまうのです。左右のキャブ内圧はごく短期的にはシリンダの動きに合わせて独自の変動を繰り返していますが、もう少し長期的に見れば同じ圧力です。従ってこの部分を繋いでしまえばここがダーダー漏れでも影響が無いわけです。

ただこの対策、装着が凄く面倒なので将来的には左右独立してキャップを被せてしまおうかと計画中です。


ここには画像があります。

お約束のインシュレータです。右は年数なりの損傷ですが左は全く損傷がありません。私は交換した記憶が有りませんから左だけどうしてこんなに綺麗なのか理解に苦しみます。

お金のない私はGX250に倣って、ひび割れを清掃した後にスーパーXを塗り込み、さらに表面にもうっすらとスーパーXでコーティングしておきました。これでしばらくは大丈夫でしょう。この部分はヤマハから部品が出るようなので、出るうちに買って置いた方が良いような気がしています。でも2個で1万円弱したような記憶・・・


ジェットニードルの内径測定。写真取り忘れ。

磨いた3.2mmのドリルの刃を各種用意してマイクロメータで外径を実測して簡易的なプラグゲージにします。これをニードルジェットに差し込んで内径を決定しました。

結果的に3.16mmの軸が安定して通る事が解り、純正のZ6刻印に相当する寸法である3.18mmとほとんど同一で有ることが確認できました。


ここにはスロットルバルブの画像があります。

肝心のバイパスポート周辺が良く写っていません。画像の手前側がエンジンです。右上の大きな穴はスタータ系統の出口です。その直ぐ横にある小さな穴はスロー系の出口です。スロットルバルブの真上の位置に、2個の小さなバイパスポートがあります。

今回の作業で一番効果が有ったと思われる作業です。注意深く見てみるとスロットルバルブを全閉にしても2個設けてあるバイパスポートのうち1個が完全にエンジン側に露出したままでした。キャブに依ってはこういうセッティングも有るのかもしれませんが、普通にバイパスポートの役割を考えるとおかしな取り合いです。

念のためにTX650のBS38を見てみましたが、こちらは両方のバイパスポートが全て隠れるまで閉じます。今の症状と照らし合わせてしばらく悩みましたが、私のXS1も全てのバイパスポートが閉じるまでスロットルバルブが閉じるべきとの結論に達しました。

写真が無いので解りにくいですが、キャブの内径を紙ヤスリでゴシゴシ削り落とし、スロットルバルブが全週しっくりと当たった状態でなおかつバイパスポートが2個とも見えなくなるまで閉じるように加工しました。

スロットルバルブ端面にも煤が付いていたので真鍮の地肌が見えるまで清掃しました。結構時間がかかりましたが、両方とも2個のバイパスポートが見えなくなるまでスロットルバルブが閉じるように成りました。

取付前のセットですが、山勘で1個のバイパスポートのさらに1/3くらいがエンジン側に覗いている状態に仮組みしておきました。結果的に大正解でこのままでも1500rpmのアイドリングを得ることが出来ました。パイロットスクリューの戻し回転も1回転です。

この部分が効いたと思う理由は・・・図などもいれて後でボチボチ書いていきます。


ここには画像があります。

あまり関係ないような気もしましたが、ついでなのでエンジン側の取付面も面を出しておき、腐食したアルミ粉でちょっと引っかかり気味だったねじ山もタップでさらえておきます。

インシュレータのガスケットは2-3mmくらい板厚のある樹脂製でした。普通のガスケット紙なら再製作しようと思っていましたが、特別な材質だったので清掃して再利用します。念のために液体ガスケットを併用して。

普通に考えるとこの特殊なガスケットは、パーコレーションの防止などの為にエンジンからの熱を遮断する目的の様な気もします。しかしゴム製のインシュレータが間に有るのだから、2mmくらいの樹脂を追加してもたかがしれています。と言うことは・・・ゴム製のインシュレータ自体の耐久性を上げるためにシリンダブロックと遮断しているのかもしれません。ヤマハの設計の人に聞いてみたい部分です。

ここにはインシュレータ取付面の画像があります。

凄く凝った構造のインシュレータエンジン側当たり面です。エンジンには上記の2mmくらいの厚さのガスケットを介して取り付けられます。せっかく外したのだからと面を出しているとこんな模様が現れました。

ヤマハの設計なのかミクニの設計なのか解りませんが、凄く凝った当たり面です。熱による変形などを考慮してこういう設計に成ったのでしょう。もしかしたら実験部門からの提案でこうなったのかもしれません。

これよりも新しい時代のインシュレータでは、アルミがリング状に成って面圧を高めている部分がOリングのような構造に成って居るのを見たことがあります。

赤で囲んだ部分が若干反っていました。定盤上で0.04mmのシックネスゲージが入るくらい。パーツクリーナーの試験でも過加熱時にエアーを吸い込んで居る傾向があったので修正しました。厚いガスケットを新品交換して居ないのでTB1104を併用しています。


ここにはバランスパイプの画像があります。

二つ上の写真にも写っていますが、初期型のエンジンだけに装備されているインテークマニホールドのバランスパイプです。ここからのエアー吸いを疑って外してみると・・・パリパリに砕け散ってしまいました。36年間も熱とガソリンに曝されてきたのだから仕方有りません。

小物パイプ類は下手に汎用品をバイクパーツ屋で買うよりも純正部品の方が安い事が多いので調べてみると、当初の部品番号である256-14464-00が汎用部品の番号である90445-16160に変更になっていました。と言うことは今でも出る可能性が高いです。

喜んで価格を調べていくと・・・「なし」の非情な回答が帰ってきました(笑)。まあ、仕方ないと言えば仕方ないのですが、汎用部品番号が付いたゴム部品くらいは残しておいて欲しいものです。

代用品を手配しないといけません。手元にあった透明のビニールチューブを付けてみました。内径12mmで長さ120mmです。寸法的には純正と同じですが性状は全く違うでしょう。ホースバンドも無かったので針金で適当に括っておきました。負圧の部分なので適当でも良かろうと。

ある時始動時に「バシュッ」と軽い吹き返しが有りました。その内圧変化で透明のホースが抜けてしまいました。やっぱりしっかりと付けないといけません。

ここのホースに求められる性能は結構厳しい物が有ります。耐熱性、耐ガソリン性、耐エンジンオイル性、等が必要になります。しかもある程度の柔軟性を維持して空気漏れを阻止する必要もあります。こんな材料は直ぐには見つからないので、いつものホームセンターの燃料チューブを使うことにします。

三洋化成の7039シリーズの耐油燃料チューブでサイズはF-12です。メーカーのデータではガソリン中の12ヶ月浸漬で19%の体積減少があります。GX250のガソリンホースに使った感触では、1年で1割は縮んでいる感じです。これよりも耐熱性の方が問題になるかもしれません。

ホースバンドは針金を止めてまともな物を装着しました。こちらもホームセンターでよく見かける「カクダイ」の製品です。プラス穴だけでなく6角部もあるので純正品よりも使いやすい感じです。


ここにはスロットルバルブの画像があります。

一つ前の段階でやっていたスロットルバルブの交換です。ほんの少しだけ左が焼け気味なので各部をチェックしました。そこで発見したのがダイヤフラムの穴です。普通にしていれば見えない穴ですが、指で引っ張ると1mmくらいの穴が見えます。

いつもならスーパーXあたりで修理してお終いなのですが、今回は部品取りのTX650が有ったのでそちらからスロットルバルブを持ってきました。XS1とTX650のスロットルバルブは同じ部品番号です。念のために計測すると質量もカッタウエイ量も同じでした。

おまけ作業として、表面のカーボンを清掃した後にポリメイトでコーティングしてみました。何日持つのか何時間持つのか解りませんが(笑)、丁度手元に有ったのでやってみました。結果的にコーティングどころか小穴に関しても変化は有りませんでした。引き延ばして見える程度の穴ならば、はっきり解るほどの差は無いと言うことを学習しました。


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