RIGHT STUFF, Inc.Right Stuff Wrong Stuff旋盤の設置 設置場所はオートバイを置いているガレージの一角に決めました。切り子が散乱すると嫌らしいのですが、隣の区画は自転車なのでそっちに置くとパンクの嵐でもっと困ります。と言うことでとりあえずこっちへ。
この一角は昔の屋外用トイレでした。非常用に近い位置づけだったからか、大きな甕が埋まっているだけの質素な構造です。オートバイ置き場にするときに、壁を壊して甕は土で埋め戻して居ます。しかし表面は土のままに成っていました。 両側の扉の開閉、後ろからモータ関係のメンテナンス、心押し台の脱着、などを考慮して壁からの距離を決定しました。コンクリートは全体に10cmくらいの厚みにします。旋盤本体の下だけは40cmくらいの厚みにします。特に計算したとか理由が有るわけじゃなくて、何となく気分です(笑)。 残り物のスプレーでだいたいの位置をマーキングし、不要なコンクリははつって撤去します。
穴の底にははつった残骸をいれて割りぐり石の代わりにしました。柱の残りで適当に上から突き固めます。 最初に体積を計算したら0.15m^3と出ました。それを基準にセメントと砂と砂利を買ってきたのですが、最終的には1.3倍くらい必要に成ってしまいました。不足分は次の日に施工したのでコールドジョイントが出来てしまいましたが、公共工事でも無いし(笑)、単純に圧縮されるだけの部分なのでよしとします。 コンクリだけでは不安なので鉄筋を入れます。しかし家の廻りを探しても鉄筋は落ちてなかったので、温室を撤去した残材の鉄パイプを切って入れました。亜鉛鍍金が残っていたのでくっつきが悪い様に思いますが、まあ気分です(笑)。 隣の家に小型のコンクリートミキサーが有るのは知っていたのですが、借りて持ってくるのも面倒なのでトロ箱で手で練りました。砂と砂利だけで300kgを越えてしまったので、数日間は腰にかなりの疲労感が残っていました。 計算は間違うし体力もないし、土建屋には成れそうにありません。
ブルーシートをかけて1週間ほど養生させます。雨降りが続いていたので十分な湿度が供給できていたと思います。 コンクリを流した翌日の朝めくってみると、イタチが足跡を付けていました。食い物も無いのにちょっかいを出したくなると言うことは、イタチは好奇心が旺盛なのでしょうか?
約1週間後です。旋盤の下だけは水はけのことを考慮して周囲よりも3cmくらい高く盛り上げてみました。素人左官屋なので出来は良くないです。レベルも最大で2cmくらい狂っているかもしれません。 この旋盤は基礎ボルトが無くてジャッキボルトで高さを調整するだけです。と言うことで、あとは引きずってきてレベルを出せばOKです。基礎ボルトがあると一旦持ち上げる必要が出てきますし、パッドを打ってレベルを出したり色々と大変です。その辺になると素人の手に負えないように思います。
息子達が全員揃った翌週の土曜日。4名で旋盤を動かしました。あぁ、息子ばかり3人も産んでいて良かった。私が産んだ訳じゃないけど(笑)。 下にジャッキボルトが有るので一応レベルを出しておきます。機械用のレベルは高くて買えないので、いつもの様にホームセンターの数百円の品物です。まあやらないよりもやった方が良いでしょう。 コンクリのレベルは5mmくらいしか傾いていませんでした。
とりあえず設置完了しました。嬉しくてニヤニヤしてしまいます。 旋盤は高校の頃からの夢でした。某Q大の航空工学科に合格したら旋盤を買って貰える約束でした。でも高3の夏休みもバイク屋でバイトするような生活だったので見事に不合格。 もしあのとき合格していたら、アルトか何かのミニ旋盤を買って貰って居たはずです。でもテクニックも無いのにミニ旋盤が使いこなせる訳が有りません。直ぐにこんなのは駄目だと放り出して居たことでしょう。 旋盤を放り出した私は人が変わったように勉学に勤しみ、大学院を出た後は宇都宮辺りの航空関係の会社に就職し、優しい妻と結婚して3人の美しい娘を授かります。 一時期仕事に魅力を感じなくなった私は、関宿でグライダーを始めます。その後、同じグライダー乗りで京都の大学から来た同期のY田君と知り合い、「お前の制御が悪い」「いや、お前の機体が悪い」等と言い合うのです。 久しぶりに実家に帰った私は、老人ばかりの村と荒れた竹山に危機感と使命感を抱き、「竹炭を焼いて生活する」と言い残して福岡に帰ってしまいます。竹炭を焼きながら久住に顔を出し、長崎のK崎君と知り合ってこの旋盤を貰う話が出ます。 現実の人生と大きく違って居るような気もしますが、あまり変わらないような気もします。人生の岐路でどちらに転んでも、人は神がお決めになった範囲でしか生きて行けないという、大変宗教的な結論が導き出されました(笑)。 疲れた体で夜遅くまで旋盤の手入れをしていると、色々な妄想が頭を駆けめぐります。
|