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Forerunner301のコネクタ清掃・修理

GARMINの腕時計型GPSに関しては、コネクタの設計にかなりの迷いが有るように思います。同じシリーズなのにFR201とFR301でコネクタが違いますし、FR205/305に成ってからはまた変わりました。さらにFT201はFR201と同じですが、FT101になると上記の何れとも異なります。

インターフェイスの電気的仕様が変わったのも一つの原因ですが、スポーツ時の腕に装着するという、電子機器にとって相当過酷な環境に対しての設計的な悩みも大きいのだと思います。

今回は上記のシリーズ内で私が個人的に一番厳しいと感じている、FR301のコネクタ修理の記録です。


ここには修理前のコネクタ画像があります。

これは充電は出来るけどPCとの通信が出来ないというトラブルで入ってきたFR301です。表面を覆っていたゴムの蓋が無くなっています。蓋が無くなってからも或る程度の期間使われていたのでしょう。内部には赤さびや緑青が確認できます。

この機械に関しては電極の表面が酸化して接触が悪くなり、電極の横や上にも同じく酸化物や汗とゴミが混じった物が詰まってしまってスプリング作用を妨げていました。さらにそのような状態でケーブルを抜き差ししていたので、電極が微妙に変形して居ました。

針やブラシや爪楊枝などを使って丁寧に洗浄すると共に、電極回りの汚れを落として電極のスプリング作用を回復させ、接触が良い形状に修正していきます。

最悪は新しいコネクタをプラリペアでも使って埋め込むか・・・と覚悟していましたが、そこまでの必要は有りませんでした。もう少し程度が酷くて、電極が痛んでしまえばコネクタAssyでの交換に成っていたでしょう。


ここには修理後のコネクタ画像があります。

ゴムの蓋は入手できなかったので自作です。シリコーン系のゴム板から切り出した蓋をTORXねじ(工具サイズはT5)で締め直します。純正品の蓋にはUSBコネクタにはまる突起が付いていますが、今回はそこまで再現出来ていません。単純な平板です。

単純な平板とは言っても、汗がそのままコネクタ内に進入するのと間に1枚ゴムが有るのとでは大違いです。突起が無くてもゴムが有れば、少なくとも直接の進入は防げます。


ここには接点グリスの画像があります。

最後の仕上げは田宮の接点グリスを使います。これは古いRCカーの速度コントローラのスライド抵抗に塗るためのグリスです。うちの掲示板にも書き込みを頂いている「横田さん」から、GPS12の時代に教えて貰いました。

元々の用途から、接点表面の酸化防止や接触抵抗の安定化などは問題ないと判断しましたが、GARMINの使っているプラスチックに対する攻撃性が不安でした。しかしGPS12の時代から各機種に使っていますが今までに問題は発生していません。普通の用途には十分な安全性が有ると判断しています。

問題は入手性でして、今は何処にでもは売っていません。あまり売れない(笑)模型店の在庫を探すのが良さそうです。

接点グリスは修理後だけではなく、日々のメンテに使ってこそ意味があります。数回のトレーニングに1回くらいの割合で電極の表面に爪楊枝などで薄く塗布してやります。すると電極の金属面がグリスの膜で覆われるために、もし汗が進入しても電極の腐食などを最小限に抑えることが出来ます。


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