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マッカラー 3202AV-14の修理

納屋の掃除をしていたらゴミの中からチェンソーが出てきました。本当に肥料の袋とか段ボールとか、木ぎれとか錆びた鎌とか・・・の下から出てきたからびっくりした。

爺さんに聞いてみたらプライミングポンプが破れたので別のを買ったらしい。いつも「勿体ない勿体ない」と言うくらいなら修理しろよとか、修理しないなら捨てておくれ、等と心の中で突っ込みながらも状況を観察。


ここにはチェンソーの画像があります。

サイズは350mmくらいです。大きくもなく小さくもなく。使い勝手の良い位のサイズかもしれません。この画像は修理と掃除が済んだ後の画像です。

外国製を日本の商社が輸入して、日本語の説明ステッカーを貼り付けた商品と思えます。相当古いのかと思っていましたが、プラスチックを多用した筐体などを見ると、そこまで古くは無いようです。まぁ、私の古い、古くないの感覚は一般的ではないかもしれませんが(笑)。


ここにはチェンソーの画像があります。

カバー詳細です。McCULLOCHという会社です。マッカラーと読んで北米では割と有名なメーカーらしい事を教えて貰いました。

「PRO-MAC 3205AV-14」と有ります。32は32cc、05はバージョン?、AVはアンチバイブレーション、14は14インチバー、を意味するのでしょうか?


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スポンジ製のエアクリーナと黄色のレバーはチョークレバーです。スポンジの材質が良いみたいで、まだそのままで十分使える状態でした。家にある草刈機や動噴などは軒並み駄目になっているのに、この品質には感心しました。


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キャブレターはワルボロのWT348が付いていました。この手の小型エンジンでダイヤフラム式では定番のように思います。カートやオートバイの人はワルボロとかワルブロと呼びますが、日本法人はウォルブローと読ませて居るみたいです。


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ピンぼけですがキルスイッチ内部です。このスイッチが閉になったら始動可能ではなくて、開になったら始動可能です。

別の言い方をすれば、点火系の一部をアースに落として火花が出ないようにする機構です。昔の原付なんかで「直結」と言いながら線を切っていたのはそう言うわけです。


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劣化して駄目になったプライミングポンプです。筐体へははめ込み式の爪だけで止まっています。

引き出したら繋がっている燃料ホースもボロボロに折れてしまいました。


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プライミングポンプ系統の考察です。口で吸ったり油差しで軽く圧送したりしながら、内部の構成や働きを想像します。

キャブの内部には燃料吸い上げ用のダイヤフラムポンプが有ります。このポンプは吸気側の脈動を拾って駆動され、フロート室に相当する部屋に燃料を充満させます。

プライミングポンプはこのフロート室から燃料タンクへ燃料を戻す様に接続されています。始動前に手動でフロート室へ燃料を充満させるとか、フロート室の劣化した燃料を新しいタンク内の燃料を循環させることで入れ替えるとか、そう言った目的と思われます。

こうやって考えるとプライミングポンプが破損した場合、キャブ出側のホースに栓をしてしまい、何回もロープを引けば使えるんじゃ無いかと思います。


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マキタの純正部品がナフコに売っていました。値段は800円弱です。同じ物に見えたので買ってきましたが、並べてみると微妙に違っていました。

しかし、チューブの取付部とか本体へはめ込む部分の寸法や構造は同一です。互換性が有って問題なく利用できるようです。


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マフラーの分解。中にはカーボンがほとんど付着していない。どちらかというとオイリーな雰囲気なので、オイル濃いめであまり使ってない?

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排気ポートから向こう側のシリンダ壁を観察。ホーニング跡が解る。そんなに使ってない感じ。

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フライホイールを外したところ。燃料タンクを固定しているトルクスビスが1本脱落している。フライホイール内側にはこすった跡がある。クランクケースの雌ねじは痛んでいてそのままでは使用不可。

クランク軸の直ぐ上に横に伸びている黒いユニットがチェンソーオイル用のポンプ。

その上に点火コイルというか、点火ユニット1式が固定されている。


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燃料タンク。樹脂製のタンクに燃料ホースが突っ込んであるだけ。シンプルな構造に驚く。ホースが劣化していて簡単に裂けてしまった。

緑の栓に見えるのは、エアの取り入れバルブ

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チェンソーオイルのタンク。こちらも燃料タンクと同じ構造。

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カート等に使われているらしい3x5の燃料チューブを使って、燃料タンク内の配管も修理した。

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チェンソーオイルを圧送するためのポンプ。クランク軸にウォームホイールが付いており、それに噛み合うピニオンは中に見える白いシャフトに切ってある。シャフトの端面はカム形状になっており、抜け止めを兼ねたピンと接触して軸方向にピストン運動する。多分反対側にはカムに押しつけるスプリングと、ポンプを形成するワンウェイバルブが有ると思われる。

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M5のタップとなべ皿ビスで修理した固定部。ロックタイトで固定して、さらにスーパーXで頭を固定してみた。

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ブレーキ部分。左手の甲の部分がレバーを押すとクラッチ外周をバンドが締め付けて回転が止まるようになっている。レバーと本体カバーの隙間に木くずが詰まっていて、掃除するまで動かなかった。こういう部分はしっかり清掃しながら使わないといけない。

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クラッチ側。木くずのオイル漬けをエアガンで飛ばしたら、結構綺麗になった。

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クラッチのアウター。スプロケットが付いており、これが出力側になる。クランク軸にフローティング状態で装着されるために、中にニードルローラBrg.が圧入されている。クランク側には特にインナーは装着されて居らず、仕上げられたクランク軸端がニードルと接触する。

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遠心クラッチ分解。シューという物は無くて、インナーのウエイト表面が直接接触するような構造になっている。その表面は前面に当たりが出て居らず、1/3位しか接触した跡がない。あまりに重いのでやっぱり使ってなかった事断定(笑)。

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試し切り。絶好調に切れたけど、腐った木だから当たり前・・・。

爺さんの作った混合油を入れたら、えらく煙が酷かった。RZ350に使っていた古いオートルーブスーパーオイルが有ったので、それで30:1の混合を付くって入れた。割と好調。

キャブの調整は、低速側が1.25回転戻し。高速側は4-5回転も戻さないといけない。低速側は普通っぽいけれど、高速側がなにか可笑しいような気がする。でも2回戻し程度では回らない事すら有るし、3回戻しでもチョークを半閉にしないと加速しない。


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